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「便秘」に悩むあなたへ──“腸”だけじゃない!経絡でみる排便トラブル
毎日スッキリしない。
薬を使わないと出ない。
そんな便秘の悩みは、現代人にとって非常に身近な問題です。
しかし中医学では、単なる腸の働きの問題ではなく、気・血・津液の流れや五臓のバランスが大きく関係していると捉えます。
🧠 Case:40代女性、デスクワークで運動不足、便秘歴10年
毎朝トイレに時間がかかる。排便が硬く、出しにくい。
腹部膨満感があり、肌荒れも気になる。
中医学的には脾虚+気滞+燥熱など複合的な背景が考えられます。
📚 中医学における便秘の分類
- 熱結便秘:胃腸に熱がこもり、便が硬くなる。口臭、のどの渇き、顔の赤み。
- 気滞便秘:ストレスで気の巡りが滞り、排便の動きが低下。腹部膨満感。
- 気虚便秘:体力が弱く、排便する力が足りない。出したいのに出ない。
- 陰虚便秘:潤い不足により、便が硬くて乾く。肌や唇も乾燥気味。
便秘に関係する主な経絡は、手の陽明大腸経・足の陽明胃経・足の太陰脾経・任脈などです。
🔍 関連する経絡とツボ
🔸 手の陽明大腸経(大腸の働きを司る)
- 合谷(ごうこく):手の甲の親指と人差し指の間。便秘・頭痛・自律神経の調整に。
- 曲池(きょくち):肘の外側。体内の熱を取り除き、排便を促進。
🔸 足の陽明胃経
- 天枢(てんすう):おへその両側。大腸と胃の働きを整える代表ツボ。
- 梁丘(りょうきゅう):大腿前面。胃腸機能の調整に使われる。
🔸 足の太陰脾経
- 公孫(こうそん):足の内側、母趾の下。脾の働きを高め、便通を助ける。
🔸 任脈
- 中脘(ちゅうかん):胃の働きを整え、脾胃虚弱タイプに。
- 関元(かんげん):元気を補い、排便を促す。
👐 セルフケアと養生法
- 腹部マッサージ:おへその周囲を時計回りに軽く押す。特に天枢を意識。
- 温灸・カイロ:関元や中脘に温熱刺激を与えて胃腸を活性化。
- 食事療法:潤いを与える食品(黒ごま、はちみつ、梨、山芋)を意識。
🌿 便秘に用いられる漢方方剤
- 麻子仁丸(ましにんがん):潤い不足による便秘に。
- 大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう):速効性を求める際の便秘薬。
- 潤腸湯(じゅんちょうとう):加齢や慢性疲労による頑固な便秘に。
📝 まとめ
「便秘」は“腸の問題”だけではありません。
心やストレス、体力、体の潤いなど、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。
中医学的な視点から、経絡とツボを味方に、自然な排便リズムを取り戻していきましょう。
次回は「下痢」の経絡的なメカニズムとセルフケアをお伝えいたします。