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月経不順・PMSは“肝”のせい?──経絡で読み解く女性のリズムとセルフケア
「生理周期が不安定」「イライラ・むくみ・頭痛がつらい」──月経にまつわる不調は、多くの女性が抱える悩みです。
中医学では月経は「血」の変化であり、それを調整するのが肝・脾・腎の働きとされています。
経絡を通して「女性のリズム」に寄り添い、整えていくヒントをお伝えします。
🧠 Case:30代女性、生理周期がバラバラでPMSが重い
生理前になるとイライラしやすく、胸が張って頭痛がする。周期は不規則で、経血量もバラバラ──これは中医学でいう肝気鬱結や肝腎陰虚の可能性があります。
📚 中医学における月経トラブルの主な証
- 肝気鬱結:ストレスなどで肝の気が滞る。PMS・月経前の情緒不安定・周期の乱れ。
- 肝血虚:月経量が少なく、色が淡い。疲労感・めまい・不眠を伴う。
- 腎虚:周期の長短や閉経傾向。足腰のだるさ・耳鳴りを伴う。
- 脾虚:経血量が多く、水っぽい・疲れやすい・食欲不振。
関連する経絡は足の厥陰肝経・足の太陰脾経・足の少陰腎経・任脈などです。
🔍 関連する経絡とツボ
🔸 足の厥陰肝経
- 太衝(たいしょう):情緒安定、肝気の巡りに。PMSの基本ツボ。
- 三陰交(さんいんこう):肝・脾・腎の交会穴。月経調整に必須。
🔸 足の太陰脾経
- 血海(けっかい):血の調整・月経過多や不順に。
🔸 足の少陰腎経
- 照海(しょうかい):腎陰を補い、情緒の安定に。
🔸 任脈
- 関元(かんげん):子宮・腎のエネルギー源を支える。
👐 セルフケアと養生法
- 三陰交へのお灸:冷え性・PMSに効果的。
- 甘すぎ・冷たいものを避ける:脾の機能を守る食事に。
- 感情を溜め込まない:軽い運動や深呼吸で肝の気を巡らせる。
🌿 月経トラブルに用いられる漢方方剤
- 加味逍遙散(かみしょうようさん):肝気鬱結に。PMSや月経不順に。
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):瘀血タイプの月経痛・不順。
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):虚弱体質・冷え性・生理不順。
- 温経湯(うんけいとう):血虚・寒冷による不妊傾向や月経異常に。
📝 まとめ
月経トラブルは、単なる「ホルモンバランスの乱れ」と片づけられがちですが、中医学では「肝」がそのリズムの鍵を握る存在です。
肝・脾・腎の経絡を整え、ツボや食事、心のケアを合わせて取り入れることで、あなた自身のリズムを取り戻すお手伝いができます。
次回は「肌荒れ・にきび」に関係する経絡と証を解説いたします。