🧩 第5回|足の太陽膀胱経と足の少陰腎経──“水”と“生命の根”をめぐらせるルート

足の太陽膀胱経と足の少陰腎経──“水”と“生命の根”をめぐらせるルート

「最近、足腰がだるい」

「夜中にトイレで目が覚める」

「なんだか全身が冷えている」

そんな症状に共通して関わってくるのが、中医学でいう腎(じん)と膀胱(ぼうこう)の経絡です。

💧“水”の代謝を司る臓腑──腎と膀胱

中医学では、腎と膀胱は水の調整役です。
腎は「先天の本(せんてんのもと)」と呼ばれ、生命の根源エネルギーを蓄えます。
膀胱は、その水分を運び出す「排出ルート」です。

  • 腎:精(せい)を蔵し、成長・老化・生殖・骨・脳・耳に関与
  • 膀胱:水液を体外に排出する「水道官」

🧭 足の太陽膀胱経──“背面のエネルギーハイウェイ”

足の太陽膀胱経(たいようぼうこうけい)は、背中を縦断する最大級の経絡です。
目頭から始まり、頭・首・背中・腰・太もも・ふくらはぎ・足の小指まで、左右対称に走行します。

  • 全身の“表(おもて)”を巡る経絡
  • 背部兪穴(はいぶゆけつ)──五臓六腑とつながる重要ツボが並ぶ
  • 主な症状:腰痛・肩こり・頻尿・風邪・背中のこわばり

膀胱経は「寒邪(かんじゃ)」が侵入しやすい経絡でもあり、背中の冷えや風邪の初期症状とも関連が深いのです。

🌱 足の少陰腎経──“精”を蓄える生命の根本ルート

腎は生命のエネルギータンク。腎経はそのエネルギーを足元から全身に送り出す経絡です。
足の裏から始まり、内くるぶし、ふくらはぎ、太もも、背中、胸部へと昇っていきます。

  • 腎陰(体液・潤い)と腎陽(温める力)の両方を支える
  • 老化・成長・ホルモン・骨・耳・髪との関連が深い
  • 主な症状:疲れやすい・冷え・耳鳴り・白髪・膝の痛み・生殖機能の低下

腎経が弱ると、「下半身の力が抜ける」ような状態が起こります。
冷え、足腰のだるさ、集中力の低下、めまいなどが現れやすくなります。

🤝 膀胱と腎──「表裏」の関係で全身を支える

足の太陽膀胱経と足の少陰腎経は、表裏のペアです。
膀胱が“出す”機能、腎が“蓄える”機能を担当しており、排泄と貯蔵のバランスが重要です。

  • 腎が弱る → 頻尿・夜間尿・足腰の力不足
  • 膀胱が冷える → 風邪・寒気・腰の痛み

🌿 セルフケアで“水”と“根”を整える

  • 腰を冷やさない(とくに仙骨・腎兪周辺)
  • ふくらはぎ・足裏を温める
  • おすすめのツボ:腎兪、命門、太渓、湧泉、志室
  • 生活習慣:睡眠の質を高める/過労を避ける/塩分とりすぎ注意

とくに冬や更年期、高齢期に入ると、腎と膀胱は弱まりやすくなります。
経絡を通して、“身体の芯”を守るケアを意識していきましょう。

📘 次回予告:手の厥陰心包経と手の少陽三焦経──“情緒”と“水路”を調える裏の主役たち

次回は、ややマイナーながらも重要な「心包」と「三焦」の経絡へ進みます。
情緒や水分代謝、ホルモンバランスとの関係を掘り下げてまいります。

→ 続きを読む:手の厥陰心包経と手の少陽三焦経

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