🧩 第4回|手の少陰心経と手の太陽小腸経──“心の声”と“排泄”の関係をつなぐルート

手の少陰心経と手の太陽小腸経──“心の声”と“排泄”の関係をつなぐルート

「心がザワつくと、お腹が痛くなる」
「便秘が続くと、なんだか不安定になる」
そんな経験、ありませんか?
実はこれ、中医学でいう“心と小腸”の経絡が関係しているかもしれません。

💓「心は君主の官」──精神と血脈を司る臓

中医学において「心」は単なるポンプではありません。
「神(しん)」という精神活動の中心を担い、感情・思考・意識・記憶すべてに関わる臓腑とされています。
また、全身に血をめぐらせ、体と心の状態を整える「君主(リーダー)」のような存在でもあります。

🫀 手の少陰心経──「心」の状態を映すライン

手の少陰心経(しゅのしょういんしんけい)は、心の気血を手まで届ける経絡です。
胸の奥にある心臓から始まり、腕の内側(小指側)を通って小指の先に至ります。

  • 主な症状:動悸・不眠・胸苦しさ・手のほてり
  • 情緒的な症状:焦り・不安・恐れ・言葉がうまく出ない

心経が乱れると「眠れない」「落ち着かない」「急に泣きたくなる」といった情緒の不安定さが現れます。
また、血の巡りが悪くなるため「手のひらのほてり」や「舌の異常(口内炎・舌尖の赤み)」にもつながります。

🧻 手の太陽小腸経──「分別」と「排泄」を司る経絡

一方、小腸は「受け取ったものを分ける」臓器。
胃から受け取った内容物を“清と濁”に分け、栄養は脾へ、水分は膀胱へ、不要物は大腸へと送る精密なシステムを担っています。

手の太陽小腸経(しゅのたいようしょうちょうけい)は、
小指の先から腕の外側・肩・首・頬を通り、耳の前(聴宮)にまで至るラインです。

  • 主な症状:耳鳴り・首肩こり・頬の腫れ・便秘・下痢
  • 判断力の低下・迷いやすさ・言葉がまとまらない

小腸経が滞ると、「うまく決断できない」「便秘または下痢が続く」「頬や耳の腫れ・痛み」などが起こりやすくなります。

🤝 心と小腸──実は“表裏”の関係です

中医学では、「心と小腸は表裏一体の関係」とされています。
表裏とは、表(体表)と裏(内臓)がつながっているという関係性。
心が乱れれば小腸の働きが不安定になり、小腸が滞れば心も落ち着かなくなるという双方向のつながりがあるのです。

🌐 例えばこんなケース

  • ストレス → 心が乱れる → 腸が動きすぎて下痢
  • 便秘が続く → 小腸に“熱”がこもる → イライラ・焦燥・動悸が出る

これらは「心小腸の経絡バランス」が崩れたサインかもしれません。

🌿 心経・小腸経のセルフケア

  • 指先・腕を温める(特に小指〜前腕内側)
  • 深い呼吸とゆったりした会話(心の気を整える)
  • おすすめのツボ:神門(しんもん)、少海(しょうかい)、小沢(しょうたく)
  • 食事面:苦味を含む食材(レタス、セロリ、緑茶など)で「心火」を鎮める

📘 次回予告:足の太陽膀胱経と足の少陰腎経──“水”と“根”をつなぐルート

心と腸の関係、少し意外だったかもしれませんね。
次回は、“腎”と“膀胱”をつなぐ経絡。冷え・むくみ・夜間頻尿に関わる水分代謝の重要ルートを解説いたします。

→ 続きを読む:足の太陽膀胱経と足の少陰腎経

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