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「腰が痛い」はどの経絡?──中医学でみる腰痛とそのツボ
腰が重い、痛い、朝起きたときが特につらい──
そんな「腰痛」にも、経絡とツボを活かした見立てとケアがあります。
本記事では、中医学的に「腰痛=経絡の通路が滞っている状態」と捉え、タイプ別に紹介します。
🧠 Case:朝、顔を洗おうとして前かがみでピキッ
50代男性。朝起きて腰をかがめたときにギクッと激痛。安静にしていてもズーンとした違和感が続く。
これは中医学でいう寒湿タイプや、膀胱経の詰まりが関係している可能性があります。
📚 中医学での腰痛の分類
- 寒湿阻絡(かんしつそらく)型:冷えや湿気により経絡が閉塞し、痛みが強くなる。
- 瘀血阻絡(おけつそらく)型:血の巡りが悪く、慢性的な鈍痛・刺すような痛みに。
- 腎虚腰痛(じんきょようつう)型:腰がだるく、疲れると悪化。加齢・冷え体質に多い。
中医学では、腰=腎の府とされ、主に「膀胱経・腎経・督脈」が関与します。
🔍 関連する経絡とツボ
🔸 足の太陽膀胱経(背中〜腰の代表経絡)
- 腎兪(じんゆ):第二腰椎の外側。腎を補い、慢性腰痛に効果的。
- 委中(いちゅう):膝裏の中心。腰の痛みや膀胱系のつまりを解消。
🔸 足の少陰腎経(腰部〜足裏まで)
- 命門(めいもん):第二腰椎の中心。生命力・精気を支える要穴。
- 太谿(たいけい):内くるぶしの後ろ。腎の気を補い、慢性腰痛に。
🔸 督脈(脊柱ライン・全身統括)
- 腰陽関(ようようかん):第四腰椎。下半身の気血循環に影響。
- 命門(重複):督脈上でも重要な要穴。
👐 セルフケアと養生ポイント
- 慢性腰痛には、腰と膝裏への温熱ケア(温灸・ホットパック)を毎日続けることが基本。
- 起床時や長時間同じ姿勢の後には、背中のストレッチや腎兪・命門を意識した深呼吸。
- 冷えが強いタイプは、足湯+太谿へのマッサージで腎を温めるとよい。
🌿 腰痛に使われる漢方方剤
- 独活寄生湯(どっかつきせいとう):慢性の腰膝痛、虚弱タイプに。
- 八味地黄丸(はちみじおうがん):腎陽虚による腰のだるさ、頻尿など。
- 疎経活血湯(そけいかっけつとう):寒湿による関節痛や神経痛。
📝 まとめ
「腰痛」は中医学においては“腎の衰え”や“気血の滞り”として捉えるのが特徴です。
痛む場所だけでなく、体質や気候、時間帯との関係性を見つめることで、効果的なツボやケア法が導けます。
次回は「冷え性」について、経絡とツボからアプローチしてまいります。