【感情と経絡(五志)シリーズ|第6回】:五志の“つながり”──感情と経絡が交差する心身のネットワーク

五志の“つながり”──感情と経絡が交差する心身のネットワーク

怒ると胃が痛む、悲しいと背中がこわばる──
感情はひとつでは動かない。複数の感情が絡み合って身体に影響を及ぼします。
本記事では、五志(怒・喜・思・憂・恐)の「関係性」に焦点を当て、経絡とのつながりを読み解きます。

 

 

 

🧠 Case:「怒り」と「不安」がセットでやってくる

30代女性。職場での理不尽な対応に怒りを感じつつ、同時に「自分が悪いのでは」と不安で眠れなくなる。
このように、複数の感情が重なることは中医学でもよく知られた現象です。

 

 

📚 五志の基本とそれぞれの所属

感情 五臓 主な特徴
怒(いかり) 気を上げ、のぼせ・頭痛を引き起こす
喜(よろこび) 神志を安定させるが、過度だと心神を乱す
思(かんがえすぎ) 気を結び、胃腸障害や疲労感につながる
憂・悲
(うれい・かなしみ)
気を収縮させ、呼吸や免疫に影響
恐(おそれ) 精気を損ない、下半身や生命力の消耗へ

🔄 五志は“連動”する:感情のネットワーク

五志は単独で起こることは少なく、以下のようなパターンで連鎖します:

  • 怒+思:イライラしているのに、気を遣いすぎて疲れる
  • 喜+恐:うれしい出来事に不安が入り混じり、眠れない
  • 悲+怒:喪失感と同時にやるせない怒りを感じる

これは、各臓腑が五行相生・相剋の関係でつながっているからです。

五行的つながり:

  • 肝(木)は心(火)を生む → 怒りから動悸・不眠へ
  • 脾(土)は肺(金)を剋す → 思いすぎで悲しみに
  • 腎(水)は心(火)を剋す → 恐れが心神を乱す

 

 

 

📌 経絡で見る“感情の通路”

経絡は身体だけでなく、感情の流れを伝えるルートでもあります。
感情が過剰に高ぶると、経絡上に異常があらわれやすくなります。

例:

  • 怒り → 肝経・胆経ラインに緊張・こわばり・胸脇苦満
  • 思い → 脾経に沿った腹部の張り・胃のもたれ
  • 恐れ → 腎経ラインの冷え・腰痛・脱力感

ツボや漢方、呼吸法などを使い、「感情→経絡→臓腑」への影響を鎮めるアプローチが有効です。

 

 

 

 

👐 五志のバランスを取るためのセルフケア総まとめ

  • 怒 → 太衝・行間、深呼吸、ストレッチ
  • 喜 → 神門・内関、静かな夜時間
  • 思 → 足三里・脾兪、温食・香りでリラックス
  • 悲 → 中府・太淵、深い呼吸と涙の浄化
  • 恐 → 太谿・湧泉、下半身の保温と休息

 

 

 

📝 まとめ

感情はただの“気持ち”ではなく、身体に実際の影響を与える「力」です。
五志の関係性や経絡のつながりを理解することで、感情のケア=身体のケアにつながります。

「感情を受け入れ、身体を整える」──それが中医学の感情養生です。

 

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