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経絡で読み解く「頭痛」──ツボと流れで原因別にアプローチ
ズキズキ、ガンガン、重だるい──
頭痛は日常的でありながら、原因が多様で、対処に迷う症状です。
中医学では、痛む「場所」や「痛みの質」によって、関わる経絡や対応方法が異なります。
🧠 Case:前頭部がズキズキ痛む
30代女性。仕事中に目の奥が痛くなり、前頭部がズキズキすることが増えた。鎮痛薬で一時的に治まっても、またすぐ再発…。
中医学的には「陽明経(胃経)」や「肝の熱」が関係している可能性があります。
📚 中医学での頭痛のとらえ方
中医学では、頭痛は「外感(風・寒・湿など)」または「内傷(気血の不足・肝陽上亢など)」により引き起こされると考えます。
特に重要なのが「痛む部位」=どの経絡に沿って症状が出ているかを見極めることです。
頭痛の部位と関連する経絡
- 前頭部:陽明胃経(ようめい いけい)
- 側頭部:少陽胆経(しょうよう たんけい)
- 後頭部:太陽膀胱経(たいよう ぼうこうけい)
- 頭頂部:厥陰肝経(けついん かんけい)
🔍 経絡と代表的なツボ
🔸 陽明胃経(前頭部の痛みに)
- 陽白(ようはく):瞳孔の真上、前額部。目の疲れ・前頭痛に。
- 足三里(あしさんり):胃経の要穴。消化系の調整にも。
🔸 少陽胆経(側頭部の痛みに)
- 率谷(そっこく):耳の上あたり。側頭痛・片頭痛の代表穴。
- 足臨泣(あしりんきゅう):胆経の通りをよくし、頭部の緊張を緩和。
🔸 太陽膀胱経(後頭部の痛みに)
- 天柱(てんちゅう):首の後ろ、うなじの左右。後頭部痛・肩こりに。
- 風池(ふうち):頭と首のつけ根、風邪や寒さ由来の痛みに。
🔸 厥陰肝経(頭頂部の痛みに)
- 百会(ひゃくえ):頭のてっぺん。気のめぐりを調える万能ツボ。
- 太衝(たいしょう):足の甲、肝経の原穴。イライラ・怒りによる頭痛に。
👐 セルフケアと養生法
- スマホやPC作業での前傾姿勢は、首肩をこわばらせ、経絡を詰まらせます。1時間に1回は首をまわしましょう。
- 側頭痛がある方は、香り(ペパーミント・薄荷)やアイマスクなどで胆経を鎮めるのもおすすめ。
- 天気によって頭痛が悪化する人は、風池・天柱への温灸やホットタオルが効果的です。
🌿 頭痛に使われる漢方方剤
- 呉茱萸湯(ごしゅゆとう):冷え+頭痛+吐き気
- 釣藤散(ちょうとうさん):高血圧傾向の頭重・慢性頭痛
- 川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん):風邪+頭痛の初期に
📝 まとめ
頭痛のタイプによって、関わる経絡も異なります。
「どこが痛いか」を手がかりに、ツボや養生法を選ぶことが中医学的セルフケアの第一歩です。
次回は「肩こりと経絡」をテーマに、日常的な不調を読み解いてまいります。