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「動悸・不安感」は“心”だけじゃない?──経絡でみる心身のバランス崩壊
胸がドキドキして落ち着かない。
何もしていないのに突然不安になる──そんな症状にお悩みの方は少なくありません。
中医学ではこのような状態を「心神不寧」と捉え、「心」だけでなく「肝」や「腎」といった経絡のバランスが深く関わっているとされます。
🧠 Case:30代女性、不安感と不眠が続く
仕事と家事に追われて毎日が緊張の連続。
夜になると動悸がして眠れず、食欲も低下している。
これは典型的な心脾両虚や肝火上炎のパターンといえるでしょう。
📚 中医学における動悸・不安のタイプ
- 心脾両虚:疲れやすく、動悸・不安・夢の多い眠りが特徴。血虚傾向。
- 陰虚火旺:虚による内熱で心神が不安定。口渇・のぼせも。
- 肝火上炎:ストレス過多でイライラ・動悸・怒りっぽさ。
- 腎陰虚:加齢や過労による精血の不足から不安感へ。
関係する経絡は手の少陰心経・手の厥陰心包経・足の少陰腎経・足の厥陰肝経・督脈などです。
🔍 関連する経絡とツボ
🔸 手の少陰心経
- 神門(しんもん):手首の小指側。安眠・鎮静に有名なツボ。
🔸 手の厥陰心包経
- 内関(ないかん):手首から肘に向かって3本指分。動悸・吐き気・情緒不安定に。
🔸 足の少陰腎経
- 太渓(たいけい):腎の機能を補い、不安・冷え・頻尿に対応。
🔸 足の厥陰肝経
- 太衝(たいしょう):情緒コントロールに重要なツボ。
🔸 督脈(頭部の中心軸)
- 百会(ひゃくえ):頭頂部。精神を安定させる万能の調整ポイント。
👐 セルフケアと養生法
- 寝る前に神門・内関を軽く押す:副交感神経のスイッチを入れる。
- スマホ断ち:寝る1時間前はスクリーンから離れ、脳を鎮める。
- 香りの活用:ラベンダー・カモミール・沈香など鎮静作用のある香りを。
🌿 動悸・不安感に用いられる漢方方剤
- 加味帰脾湯(かみきひとう):心脾両虚タイプの不安・動悸・不眠に。
- 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう):ストレス性不安・心悸亢進に。
- 天王補心丹(てんのうほしんたん):陰虚・心血不足による不眠・不安。
- 酸棗仁湯(さんそうにんとう):肝血虚・不眠・神経疲労に。
📝 まとめ
動悸や不安感は、現代のストレス社会では誰にでも起こりうる身近な症状です。
しかし中医学では、そうした心の揺れを「気・血・精・神」の調和の乱れと捉え、全身の調整を通じて心を整えていきます。
経絡やツボを上手に取り入れ、自分自身のバランスを取り戻しましょう。
次回は「月経トラブル(生理不順・PMS)」の経絡視点を解説いたします。