【症状別に見る経絡とツボシリーズ|第8回】:「動悸・不安感」は“心”だけじゃない?──経絡でみる心身のバランス崩壊

「動悸・不安感」は“心”だけじゃない?──経絡でみる心身のバランス崩壊

胸がドキドキして落ち着かない。
何もしていないのに突然不安になる──そんな症状にお悩みの方は少なくありません。
中医学ではこのような状態を「心神不寧」と捉え、「心」だけでなく「肝」や「腎」といった経絡のバランスが深く関わっているとされます。

 

 

🧠 Case:30代女性、不安感と不眠が続く

仕事と家事に追われて毎日が緊張の連続。
夜になると動悸がして眠れず、食欲も低下している。
これは典型的な心脾両虚肝火上炎のパターンといえるでしょう。

 

 

📚 中医学における動悸・不安のタイプ

  • 心脾両虚:疲れやすく、動悸・不安・夢の多い眠りが特徴。血虚傾向。
  • 陰虚火旺:虚による内熱で心神が不安定。口渇・のぼせも。
  • 肝火上炎:ストレス過多でイライラ・動悸・怒りっぽさ。
  • 腎陰虚:加齢や過労による精血の不足から不安感へ。

関係する経絡は手の少陰心経・手の厥陰心包経・足の少陰腎経・足の厥陰肝経・督脈などです。

 

 

🔍 関連する経絡とツボ

🔸 手の少陰心経

  • 神門(しんもん):手首の小指側。安眠・鎮静に有名なツボ。

🔸 手の厥陰心包経

  • 内関(ないかん):手首から肘に向かって3本指分。動悸・吐き気・情緒不安定に。

🔸 足の少陰腎経

  • 太渓(たいけい):腎の機能を補い、不安・冷え・頻尿に対応。

🔸 足の厥陰肝経

  • 太衝(たいしょう):情緒コントロールに重要なツボ。

🔸 督脈(頭部の中心軸)

  • 百会(ひゃくえ):頭頂部。精神を安定させる万能の調整ポイント。

 

 

👐 セルフケアと養生法

  • 寝る前に神門・内関を軽く押す:副交感神経のスイッチを入れる。
  • スマホ断ち:寝る1時間前はスクリーンから離れ、脳を鎮める。
  • 香りの活用:ラベンダー・カモミール・沈香など鎮静作用のある香りを。

 

 

🌿 動悸・不安感に用いられる漢方方剤

  • 加味帰脾湯(かみきひとう):心脾両虚タイプの不安・動悸・不眠に。
  • 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう):ストレス性不安・心悸亢進に。
  • 天王補心丹(てんのうほしんたん):陰虚・心血不足による不眠・不安。
  • 酸棗仁湯(さんそうにんとう):肝血虚・不眠・神経疲労に。

 

 

📝 まとめ

動悸や不安感は、現代のストレス社会では誰にでも起こりうる身近な症状です。

しかし中医学では、そうした心の揺れを「気・血・精・神」の調和の乱れと捉え、全身の調整を通じて心を整えていきます。

経絡やツボを上手に取り入れ、自分自身のバランスを取り戻しましょう。

 

次回は「月経トラブル(生理不順・PMS)」の経絡視点を解説いたします。

この記事の分類

error: このコンテンツのコピーは禁止されています。