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落ち着きがない・集中できない子どもに|中医学で見る「心神不寧」とは?
「すぐに立ち歩く」「話を最後まで聞けない」「感情の起伏が激しい」――
学校や家庭で“落ち着きのなさ”や“集中力の低下”が気になるお子さんに、どう接していけばいいのか悩んでいる保護者の方は多いのではないでしょうか。
現代医学では「発達障害」「ADHD」として扱われるこれらの傾向。
中医学では、「心神(しんしんorしんじん)」=心のエネルギーが安定していない状態、すなわち
「心神不寧(しんしんふねいorしんじんふねい)」として捉え、体質改善・心の安定・食養生を通じたケアが可能です。
この記事では、子どもの落ち着きのなさを中医学的に理解し、証に応じた漢方処方・薬膳素材・日常での対応法をわかりやすく解説いたします。
中医学における「心神(しんじん)」とは?
心神とは、「心(しん)」に宿る精神活動全体を意味します。
中医学では、「心は神を蔵す」=心が健やかであれば精神も安定するとされています。
心神不寧の特徴
- 注意力散漫・多動
- 眠りが浅く、夢を多く見る
- 落ち着きがなく、感情が不安定
- 不安・焦燥・夜泣き・怖がり
これらの症状は、「心」が不安定になっている状態とされ、脾(胃腸)や肝(感情)との関係性も重視されます。
タイプ別|子どもの落ち着きのなさに関係する証
① 心脾両虚(しんぴりょうきょ)タイプ
- 落ち着きがない、疲れやすい
- 集中力が続かない、顔色が悪い
- 食が細く、軟便傾向
代表処方:帰脾湯、加味帰脾湯
② 肝気鬱結(かんきうっけつ)タイプ
- イライラしやすい、怒りっぽい
- 緊張や不安が強い
- ため息が多い、便秘がち
代表処方:抑肝散、抑肝散加陳皮半夏
③ 陰虚火旺(いんきょかおう)タイプ
- 落ち着かない、ほてり・寝汗
- 夜中に目が覚める
- 舌が赤く、口が乾きやすい
代表処方:天王補心丹、酸棗仁湯
日常生活でできる薬膳・食事ケア
心神を安定させるおすすめ食材
- なつめ:気と血を補い、精神を安定
- 百合根:心と肺を潤し、落ち着きを与える
- 小麦(麦茶):神経の興奮を抑える
- クコの実:肝・腎を補い、視力や神経にも
- 長芋:脾胃を補って、体力・集中力UP
おすすめの簡単レシピ
- なつめと百合根のおかゆ
- クコの実入りたまごスープ
- 長芋と鶏むねのやさしい煮物
家庭でできる心のケア・環境調整
1. 睡眠リズムを整える
- 21時までの就寝を目指す
- 寝る前のスマホ・ゲームは控える
2. 安心できる習慣づくり
- 予定を明確に伝える(不安を減らす)
- 「がんばったこと」を肯定的に伝える
3. 呼吸・ストレッチで気を巡らせる
- 深呼吸・ふうーと息を吐く練習
- 身体をゆっくり動かす遊びやヨガ
まとめ|「落ち着かない」は体のサインかもしれません
子どもの落ち着きのなさや集中力の問題は、気質や発達だけでなく、体質・睡眠・栄養・環境が深く関わっています。
漢方や薬膳は、「叱る」「押さえ込む」ではなく、子どもに合った“育て方”を体の内側から支えるツールです。
気になる症状があれば、まずは体質を知り、やさしく調えていきましょう。