冷え性に使える漢方3選|体の芯から温める東洋医学の知恵

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冷え性に使える漢方3選|体の芯から温める東洋医学の知恵

手足が冷える、布団に入っても足が温まらない──そんなお悩みを抱える女性は少なくありません。特に冬場はもちろんのこと、夏のクーラーによっても冷えが深刻化するケースも。この記事では、薬剤師・国際中医師の視点から、冷え性に用いられる代表的な漢方処方を3つご紹介します。体質ごとに合う薬も異なりますので、ご自身の状態に合わせた選択の参考にしていただければ幸いです。

冷え性のタイプを知ることが改善の第一歩

中医学では、冷え性にもさまざまなタイプがあると考えます。代表的なタイプは次の3つです:

  • 陽虚(ようきょ)タイプ:エネルギー不足で体が冷えるタイプ。寒がりで顔色が白く、疲れやすいのが特徴。
  • 血虚(けっきょ)タイプ:血が足りず、手足まで温める力が不足。月経不順や顔色のくすみが見られることも。
  • 気滞(きたい)タイプ:ストレスや緊張で血流が滞り、末端が冷える。気分の浮き沈みも特徴。

これらのタイプに応じて、漢方処方を選ぶことがポイントです。

漢方処方その①:当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)

主な症状:手足の冷え、月経痛、しもやけ、顔色が悪い

「血虚」と「寒邪(かんじゃ)」が合わさったタイプに用いられる代表処方。
当帰が血を補い、呉茱萸・生姜が体を温め、桂枝が巡りを助けます。

こんな方におすすめ

  • 特に手足の冷えがひどい
  • 冷えに伴って月経痛がある
  • 冬になるとしもやけができやすい

漢方処方その②:真武湯(しんぶとう)

主な症状:冷え、下痢、むくみ、だるさ

「陽虚」タイプの代表処方。体のエネルギー(陽気)が不足し、冷えが体内深くに及んでいる方に使われます。
附子(ぶし)という強力な温熱作用を持つ生薬が特徴。

こんな方におすすめ

  • 全身が冷えて元気が出ない
  • お腹が冷えて下痢をしやすい
  • 手足が常に冷たく、顔色が青白い

漢方処方その③:加味逍遥散(かみしょうようさん)

主な症状:冷え+イライラ、情緒不安定、月経前症候群(PMS)

「気滞」タイプにおすすめの処方。気の巡りを整えつつ、血の補給も兼ね備えた処方で、女性の冷え性によく用いられます。

こんな方におすすめ

  • 冷えに加え、イライラや情緒の波がある
  • PMS(月経前症候群)で冷えと不調を感じる
  • 肩こりや頭痛も感じる

冷え性対策は“養生”とセットで考える

漢方薬だけでなく、日々の生活の中で体を温め、冷やさないことが非常に重要です。以下のような養生を取り入れてみましょう。

  • お風呂は湯船にしっかり浸かる
  • 冷たい飲み物や生野菜を控える
  • 足首・腰・お腹を冷やさないようにする
  • 朝食に温かい汁物やおかゆを取り入れる

体質を知って、最適な漢方を選ぼう

冷え性とひとことで言っても、その背景には「気虚」「血虚」「陽虚」「気滞」などさまざまな体質があります。自分の体の声をききながら、ぴったりの処方を見つけることが大切です。

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まとめ

冷え性は女性の不調の中でも特に多い悩みのひとつ。放っておくと月経トラブルや免疫力の低下、慢性的なだるさなどにつながることもあります。
漢方と養生の力で、体の中から温めていきましょう。