ストレスによる胃の不調が改善した薬膳例

NO IMAGE

ストレスによる胃の不調が改善した薬膳例|心と脾にアプローチする中医学の知恵

「なんとなく胃が重い」「食べた後に気持ち悪くなる」「病院では異常なしと言われた」——そんな経験はありませんか?
実はこのような不調の背景に、“ストレス”が大きく関係しているケースは少なくありません。
今回は、ストレス性の胃の不調を抱えていた30代男性の症例をもとに、中医学的アプローチと薬膳の実践例をご紹介します。

🧍‍♂️ 相談者プロフィール

  • 30代男性/デスクワーク中心
  • 主訴:胃の重だるさ、食欲不振、げっぷ、時々下痢
  • 病院では「機能性ディスペプシア」と診断済
  • 生活:多忙・不規則な食事・睡眠不足

🧠 中医学的診立てと証

舌:やや胖大、白苔、舌辺に歯痕あり
脈:弦・やや緩

弁証論治では、「肝気犯脾(かんきはんぴ)」+「脾虚と判断しました。
つまり、ストレスなどで「肝の気」が過剰に働き、「脾(胃腸)」の働きを抑えてしまっている状態です。

💊 方剤と薬膳の組み合わせ

この方には、以下のような処方と薬膳食材を提案しました。

📦 使用方剤

  • 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう):ストレス性の食欲不振、喉のつかえ感にも対応
  • 香蘇散(こうそさん):気の巡りを整え、軽い風邪や消化不良に使える万能処方

🥢 薬膳素材(主な例)

  • 陳皮(ちんぴ):みかんの皮を乾燥させたもの。気の巡りと胃の調整に。
  • 大棗(たいそう/なつめ):消化吸収力とストレス耐性を高める。
  • 生姜:胃腸を温め、気の流れを助ける。
  • 山薬(さんやく):脾を補い、元気をつける。

🍽 実際の食事内容(1週間のモデル例)

  • 朝:白湯+なつめと山薬のお粥
  • 昼:蒸し鶏とキャベツの陳皮和え+雑穀ごはん
  • 夜:鮭の味噌煮+大根と生姜のスープ

また、以下のようなライフスタイルの見直しもアドバイスしました:

  • 食事は20分以上かけてゆっくり
  • 夜遅い食事を避け、胃を休める時間を確保
  • 白湯や温かいお茶をこまめに摂取

📈 経過観察と変化

2週間目:げっぷと胃の張り感が軽減、食欲が出てくる

1ヶ月目:日中の眠気が減り、体が軽く感じるようになる

2ヶ月目:食事が楽しめるようになり、体重も安定

「以前は胃が気になって会食が憂うつだったのですが、今は普通に食べられています」
「薬膳と聞くと難しく感じましたが、意外と取り入れやすくて驚きました」

📝 まとめ:心と胃腸のケアは一体で

ストレスによる胃腸不調は、現代人にとって非常に多い悩みです。中医学では、「肝(かん)は疏泄を主る」とされ、感情と消化の働きは深く結びついていると考えます。

「肝気」の滞りを解き、「脾胃」の働きを助けることで、薬だけでは届かない根本的な体調改善が目指せます。

🔗 関連リンク