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眼科と漢方の関係|疲れ目・かすみ目・ドライアイ・老眼への体質別アプローチ
「最近目が疲れやすい」「スマホやパソコンのせいか、かすみ目やドライアイが気になる」
現代人の目のトラブルは年々増加傾向にあります。
西洋医学では点眼やサプリメントなどの対処が中心ですが、
中医学では「肝・腎・脾」など五臓の弱りが“目の不調”として現れると考えます。
本記事では、目のトラブル(眼精疲労・ドライアイ・視力低下・老眼など)を、
中医学の証(しょう)=体質分類に基づいて整理し、対応する漢方処方・薬膳・ケア方法をご紹介いたします。
中医学で見る「目」と五臓六腑の関係
中医学では、目は五臓のうち特に「肝」と「腎」に関係が深いとされます。
- 肝:「肝は目に開竅する」=肝血の充実が視力を支える
- 腎:腎精の不足は老化と視力低下に直結
- 脾:気血の生成源。疲れやすい体質は目にも影響
したがって、目の不調は単なる“目の使いすぎ”だけでなく、
「肝血不足」「腎精不足」「脾虚」などの証と深く関係しているのです。
代表的な症状と体質別のアプローチ
① 疲れ目・かすみ目|「肝血虚」「気血不足」タイプ
症状:夕方以降に目がかすむ・乾く・ピントが合いにくい・めまい・顔色が白い
- 杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)
- 帰脾湯(きひとう)
- 加味帰脾湯(かみきひとう)
② ドライアイ・充血・ほてり|「肝陰虚」「虚熱」タイプ
症状:目が乾く・赤く充血・寝汗・のぼせ・口の渇き・イライラ
- 知柏地黄丸(ちばくじおうがん)
- 天王補心丹(てんのうほしんたん)
③ 老眼・視力低下・暗いところで見えづらい|「腎精不足」タイプ
症状:視力低下・耳鳴り・腰のだるさ・足腰の冷え・物忘れ・白髪が増えた
- 六味地黄丸(ろくみじおうがん)
- 杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)
④ スマホ・PC過多で目が重い|「肝気鬱結」「気滞」タイプ
症状:目が張る・まばたきが重い・イライラ・肩こり・頭痛
- 加味逍遥散(かみしょうようさん)
- 逍遥散(しょうようさん)
薬膳で目を労わる食材
肝血を補う素材
- ほうれん草・にんじん・黒ごま・クコの実・鶏レバー・卵黄
腎を養う素材(老化対策)
- 山芋・くるみ・黒豆・黒きくらげ・栗
目の疲れを癒す薬膳レシピ例
- クコの実入り黒豆ごはん
- ほうれん草とにんじんの白和え
- 山芋と卵のスープ
生活でできるセルフケア
- 1時間ごとに目を休める(20秒だけでも遠くを見る)
- 温タオルで目を温める(血流改善・涙腺刺激)
- 夜更かし・スマホの見すぎは「肝血」を消耗するので注意
- 目の疲れには“肝”を補い、“腎”を守る生活習慣を
まとめ|目の不調も“体質から整える”という選択肢を
目の不調を感じたとき、つい目薬やブルーベリーサプリに頼りがちですが、
本質的な改善には、全身のバランス=証を整える視点が必要です。
「肝血」「腎精」「気血」「陰陽」——これらの不足や偏りが目に表れているとしたら、
体質に合わせた漢方や薬膳は、目のケアにおいて心強い味方となります。