目次
泌尿器科と漢方の関係｜頻尿・残尿感・膀胱炎・前立腺の不調を“証”から整える
「夜中に何度もトイレに起きる」「膀胱炎が繰り返す」「残尿感や排尿の違和感が気になる」
このような泌尿器系の悩みは、加齢や体質の変化とともに増えていきます。
西洋医学では感染や器質的な異常に注目しますが、
漢方では「腎・膀胱・脾」の機能低下や、気血水のアンバランスを根本ととらえます。
この記事では、頻尿・排尿困難・膀胱炎・前立腺肥大など、泌尿器科でよく見られる症状を、
中医学の証に基づく体質分類と漢方処方でわかりやすく整理してお届けします。
1. 頻尿・夜間尿｜「腎虚」「気虚」「膀胱失約」タイプ
① 腎陽虚タイプ
加齢・冷え性・下半身のだるさ・夜間尿が多い・手足が冷える
- 八味地黄丸（はちみじおうがん）
- 牛車腎気丸（ごしゃじんきがん）
② 気虚タイプ
排尿に勢いがない・回数が多い・疲れやすい・声が弱い
- 補中益気湯（ほちゅうえっきとう）
- 清心蓮子飲（せいしんれんしいん）
③ 膀胱失約（ぼうこうしつやく）タイプ
尿意のコントロールがうまくいかず、尿もれや夜間頻尿が目立つ
- 縮泉丸（しゅくせんがん）
- 竜胆瀉肝湯（りゅうたんしゃかんとう）
2. 膀胱炎・排尿痛｜「湿熱」「気虚」「瘀血」タイプ
① 湿熱下注タイプ
排尿時の灼熱感・痛み・にごり尿・頻尿・尿意切迫
- 五淋散（ごりんさん）
- 竜胆瀉肝湯（りゅうたんしゃかんとう）
② 気虚タイプ
膀胱炎を繰り返す・体力低下・風邪ひきやすい
- 衛益顆粒（えいえきかりゅう）
- 補中益気湯（ほちゅうえっきとう）
③ 瘀血タイプ
慢性炎症・排尿困難・下腹部の鈍痛や違和感
- 桂枝茯苓丸（けいしぶくりょうがん）
- 桃核承気湯（とうかくじょうきとう）
3. 前立腺肥大・排尿困難｜「腎虚」「瘀血」「気滞」タイプ
① 腎虚タイプ（高齢男性の慢性症状）
- 八味地黄丸（はちみじおうがん）
- 牛車腎気丸（ごしゃじんきがん）
② 瘀血＋気滞タイプ（下腹部の張り・排尿困難）
- 桂枝茯苓丸（けいしぶくりょうがん）
- 通導散（つうどうさん）
養生のポイント｜泌尿器系を支える食材と習慣
おすすめ薬膳素材
- 黒ごま・黒豆・山芋・栗・くるみ（腎を補う）
- はとむぎ・冬瓜・小豆（利尿・利湿）
- 金針菜・クコの実（気血を補う）
養生の工夫
- 冷えを避ける（腰・足を冷やさない）
- 夜更かしを減らす（腎精を消耗しない）
- 温かい飲み物を基本に、刺激物を控える
まとめ｜泌尿器の不調は“加齢”ではなく“腎”と“気血”の問題かも
「年だから仕方ない」と言われがちな頻尿や膀胱炎ですが、
中医学では腎虚や気虚、湿熱などの体質に原因があると考えます。
体の変化に気づいた今こそ、
自分の証（しょう）を知り、体質から整えるケアを始めてみてはいかがでしょうか。
