皮膚科と漢方の関係|にきび・湿疹・アトピーの体質別処方と中医学的ケア

皮膚科と漢方の関係|にきび・湿疹・アトピーの体質別処方と中医学的ケア

「皮膚トラブルが治らない」「薬を塗っても繰り返す」「ステロイドは不安…」
そうした悩みに対し、漢方は“内側からの調整”で根本的な改善を目指します。

中医学では、肌の状態は「肺・脾・肝・腎」のバランスと深く関係し、
体内の湿熱・瘀血・気血の不足や滞りが皮膚に表れると考えます。

この記事では、にきび・湿疹・アトピー性皮膚炎などの代表的な皮膚科症状に対して、
体質=「証(しょう)」に基づいた漢方処方と食養生を解説します。


1. にきび・吹き出物|「熱毒」「瘀血」「肝鬱」タイプ

① 実熱タイプ(赤く腫れる、膿を持つ)

  • 清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)
  • 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)

② 瘀血タイプ(あご・フェイスラインに繰り返す)

  • 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
  • 血府逐瘀湯(けっぷちくおとう)

③ ストレス・肝鬱タイプ(生理前に悪化、イライラ)

  • 加味逍遥散(かみしょうようさん)
  • 柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)

2. 湿疹・じんましん|「風湿」「湿熱」タイプ

① 急性湿疹・かゆみ強い(風湿)

  • 消風散(しょうふうさん)
  • 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)

② 湿熱タイプ(ジクジク・赤み・炎症)

  • 竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)
  • 茵陳蒿湯(いんちんこうとう)

③ 慢性化して皮膚が硬くなるタイプ

  • 当帰飲子(とうきいんし)
  • 温清飲(うんせいいん)

3. アトピー性皮膚炎|「血虚」「腎虚」「湿熱」など複数の証が混在

① 乾燥・かゆみが強い(血虚+風乾)

  • 当帰飲子(とうきいんし)
  • 温清飲(うんせいいん)

② ステロイド依存・繰り返す赤み(湿熱+瘀血)

  • 消風散(しょうふうさん)
  • 荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)

③ 慢性・虚弱・高齢者・冷えを伴う(腎虚)

  • 八味地黄丸(はちみじおうがん)
  • 六味地黄丸(ろくみじおうがん)

薬膳とスキンケアのポイント

熱を冷ます・血を補う素材

  • れんこん・トマト・緑豆・ハトムギ・黒ごま・くるみ

肌のバリアを補う素材(乾燥タイプ)

  • 白きくらげ・百合根・卵黄・なつめ・山芋

おすすめレシピ

  • 緑豆とはと麦の美肌粥
  • トマトとれんこんのスープ
  • 白きくらげと百合根のデザート煮

まとめ|皮膚のトラブルは“内側からの不調のサイン”

肌のトラブルは外側から見ると同じでも、体内の状態(証)によって必要なケアは全く異なります

「繰り返す皮膚症状に悩んでいる」
「これまでの治療で根本改善が見られなかった」

そんなときは、中医学の体質診断を取り入れた漢方アプローチを試してみる価値があります。

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