小児アトピーに使える漢方とは?|体質別に選ぶ薬膳とスキンケア

小児アトピーに使える漢方とは?|体質別に選ぶ薬膳とスキンケア

「かゆみで夜眠れない」「汗をかくとすぐに悪化する」――

小児アトピー性皮膚炎は、本人もご家族もつらい症状のひとつです。

ステロイドや保湿剤によるスキンケアは重要ですが、それだけではなかなか改善が難しいことも。
そこで注目されているのが、体質から整える中医学的アプローチです。

漢方では、アトピーを「内因(体質)+外因(気候・刺激)」として捉え、原因を分類し、それぞれに合った処方や薬膳、生活改善で整えていきます。

この記事では、小児アトピーに使われる代表的な漢方と、薬膳素材、やさしいスキンケア・生活習慣の工夫を紹介します。


中医学におけるアトピーのとらえ方

アトピー性皮膚炎は「風・湿・熱・燥・瘀血(おけつ)」などが皮膚に留まり、「皮膚が本来の防御機能を果たせていない状態」とされます。

小児に多い原因体質

  • 肺が弱い(肺気虚)→バリア機能の低下
  • 脾が弱い(脾虚)→湿気が溜まりやすい
  • 血熱・血虚→乾燥・かゆみが慢性化
  • 瘀血→赤み・色素沈着が残りやすい

つまり、皮膚の問題であっても体全体のバランスが根本にあるというのが中医学の考えです。


体質別|アトピーに用いる漢方処方

① 血熱タイプ(赤み・炎症が強い)

  • 肌が赤く熱をもっている
  • かゆみが強く、夜間悪化
  • 便秘がち、舌が赤い

処方例:消風散、黄連解毒湯、温清飲

② 脾虚湿盛タイプ(じゅくじゅく・滲出液が多い)

  • 黄色い汁・かさぶたが多い
  • 食が細く、お腹をこわしやすい
  • 疲れやすく顔色が悪い

処方例:胃苓湯、茵陳五苓散、参苓白朮散

③ 血虚風燥タイプ(乾燥・慢性化・色素沈着)

  • 乾燥して粉をふく
  • 肌がザラザラでかき壊すと出血
  • 赤みは少ないがかゆみが強い

処方例:当帰飲子、四物湯加減、温清飲


薬膳で体の内側から肌を守る

1. 体を潤す食材(乾燥・血虚タイプ)

  • 白きくらげ・れんこん・ゆり根
  • 豚肉・卵・くるみ

2. 熱を冷ます食材(炎症・赤みが強いタイプ)

  • きゅうり・緑豆・大根
  • ハトムギ・苦瓜・スイカ

3. 胃腸を整える食材(脾虚・湿タイプ)

  • 山芋・じゃがいも・かぼちゃ
  • はと麦・生姜・なつめ

おすすめレシピ

  • 白きくらげと梨の潤いスープ
  • はと麦入りかぼちゃ粥
  • 豚肉とれんこんの蒸し煮

スキンケア・生活習慣で気をつけたいこと

1. 過剰な洗浄を避ける

  • 石鹸は低刺激・無香料のものを
  • 洗いすぎはバリアを壊す

2. 保湿は毎日、風呂上がりすぐに

  • 肌がしっとりしているうちに保湿
  • ワセリン、ヒルドイド、馬油なども選択肢

3. 服や寝具に注意

  • 肌に優しい綿素材、化学繊維を避ける
  • 布団の清潔・湿度管理を忘れずに

まとめ|肌のケアは「内側」からも

小児アトピーは、肌に現れる症状であっても、体質と生活環境が密接に関係しています。

漢方や薬膳は、「かゆみを抑える」のではなく、かゆくなりにくい体をつくるという考え方です。

お子さまの笑顔と健やかな毎日のために。
体の内側からのやさしいケアを、今日から始めてみませんか?

 

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