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忙しくて食事が乱れがちな人に|脾胃を整える漢方と薬膳のすすめ
「朝ごはんを抜いてしまう」「ランチはコンビニで済ませがち」「夕食が深夜になる」
そんな不規則な食事スタイル、続けていませんか?
現代人の多忙な生活において、「食事の質」よりも「手軽さ」や「時間効率」が優先されがちです。
中医学(東洋医学)では、消化器系を「脾胃(ひい)」といい、気(エネルギー)と血(栄養)を生み出す源とされています。
この記事では、乱れた食生活が引き起こす体調不良のメカニズムと、脾胃を整える漢方・薬膳・生活習慣を、薬剤師 × 国際中医師の視点からご紹介します。
中医学で見る「脾胃」と消化力の関係
中医学における「脾」は、現代医学の“胃腸・すい臓・代謝系”を総合したような概念で、
消化・吸収・運搬などの機能を担います。
- 脾が元気 → 食べたものがしっかり消化され「気」や「血」になる
- 脾が弱る → 食べたものが停滞し「湿」や「痰」となり、だるさ・むくみに
つまり、脾胃の健康は「元気の土台」であり、不調の多くはここから始まるのです。
あなたの「脾虚・食滞」チェック
- 食後すぐ眠くなる、胃が重い
- 下痢・軟便になりやすい
- 口内炎・口臭が気になる
- 肌がくすみがち、疲れやすい
- お腹にガスが溜まりやすい、げっぷが多い
- むくみやすい、雨の日に体が重だるい
複数当てはまる方は、脾虚・湿阻・食滞の体質傾向があるかもしれません。
脾胃を整える漢方処方
① 六君子湯(りっくんしとう)
食が細い・胃もたれ・倦怠感に。脾虚+気虚の基本処方。
② 平胃散(へいいさん)
食べすぎ・脂っこいものによる胃の重だるさ、食滞に。
③ 参苓白朮散(じんりょうびゃくじゅつさん)
胃腸が弱く、軟便・疲労が続く方に。脾気虚+湿困タイプ。
④ 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
疲労倦怠・食後の眠気・やる気のなさ。気虚が強い方に。
脾胃を元気にする薬膳素材
1. 脾を補う甘味素材(健脾補気)
- 山芋・かぼちゃ・じゃがいも
- とうもろこし・はとむぎ
- 鶏肉・豆腐・米・もち米
2. 消化を助ける素材
- 陳皮(みかんの皮)・大根・生姜
- 梅干し・麦芽・紫蘇
おすすめレシピ
- 山芋と鶏肉のスープ
- とうもろこしご飯と梅干し味噌汁
- はとむぎと野菜のリゾット風粥
食生活の乱れを整えるセルフケア
1. 食事の時間は「1日3回+できれば温かいもの」
- 温かいお粥やスープで胃腸の負担を軽減
2. よく噛む・ながら食べをやめる
- 30回以上噛むことで消化酵素が出やすくなる
3. 食事と食事の間隔を空けすぎない
- 5~6時間以上空くと、脾胃が消耗しやすい
まとめ|「脾胃の乱れ」は心と体のバロメーター
食生活の乱れが「疲れやすい」「やる気が出ない」「肌の調子が悪い」といった
不調につながっているとしたら、それは脾胃からのSOSかもしれません。
まずは今夜の一食を、胃腸をいたわる食事に変えることから。
漢方と薬膳は、忙しい日々のなかでも自分の身体と向き合う手助けになります。