耳鼻科疾患と漢方の関係|慢性鼻炎・耳鳴り・めまいの“証”と処方

耳鼻科疾患と漢方の関係|慢性鼻炎・耳鳴り・めまいの“証”と処方

「慢性的な鼻づまりが治らない」「耳鳴りが続いてつらい」「季節の変わり目にめまいが…」
こうした耳鼻科領域の不調に対して、漢方では体質=“証(しょう)”に基づいた対応を行います。

鼻・耳・咽喉は五臓のうち「肺・腎・肝」の機能と密接に関わっており、
単なる局所症状ではなく、全身の巡りや不足・滞りが影響していると考えられます。

本記事では、耳鼻科に多い代表的な疾患に対して、
中医学的な体質整理と、それぞれに適した漢方処方をご紹介いたします。


1. 慢性鼻炎・アレルギー性鼻炎|「肺気虚」「寒湿」「腎陽虚」タイプ

代表的な症状:

  • 鼻水・鼻づまり・くしゃみ・後鼻漏
  • 花粉症・通年性アレルギー

体質別アプローチ:

① 肺気虚タイプ

免疫力が弱く、風邪を引きやすい、鼻水が長引く

  • 玉屏風散(ぎょくへいふうさん)
  • 衛益顆粒(えいえきかりゅう)

② 寒湿タイプ

透明で水っぽい鼻水、朝に強い、舌が白っぽい

  • 小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
  • 香蘇散(こうそさん)

③ 腎陽虚タイプ

冷え体質で、長引く鼻閉・鼻炎、アレルギー持ち

  • 八味地黄丸(はちみじおうがん)
  • 真武湯(しんぶとう)

2. 耳鳴り・難聴|「腎虚」「瘀血」「肝火上炎」タイプ

代表的な症状:

  • キーン・ゴーという耳鳴り
  • 加齢性難聴・耳閉感・聴力低下

体質別アプローチ:

① 腎虚タイプ(腎精不足)

加齢・慢性疲労による耳鳴り、聴力低下

  • 六味地黄丸(ろくみじおうがん)
  • 杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)

② 瘀血タイプ

耳の詰まり感・鈍い痛み・慢性症状が多い

  • 通竅活血湯(つうきょうかっけつとう)
  • 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

③ 肝火上炎タイプ

ストレス性、突発性の耳鳴り・怒り・頭痛を伴う

  • 竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)
  • 加味逍遥散(かみしょうようさん)

3. めまい・メニエール病|「腎虚」「痰濁」「気血不足」タイプ

代表的な症状:

  • ふわふわ・グルグル回る感覚
  • 耳鳴り・吐き気・倦怠感

体質別アプローチ:

① 腎精不足タイプ

年齢・慢性疲労によるふらつき

  • 八味地黄丸(はちみじおうがん)
  • 杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)

② 痰濁中阻タイプ

吐き気・胸苦しさ・湿気・頭重感

  • 半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
  • 苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

③ 気血不足タイプ

疲れるとフラフラする・顔色が白い

  • 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
  • 帰脾湯(きひとう)

まとめ|耳・鼻・喉のトラブルは「内側」からのメッセージ

耳鼻科の症状は、ただの局所疾患ではなく、
肺・腎・肝のアンバランスによる「全身のサイン」とも言えます。

慢性症状に悩む方は、ぜひ中医学的な視点から
自分の体質=証を知り、根本から整えるアプローチを試してみてください。

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