婦人科でよく使われる漢方5選|月経痛・PMS・更年期の“証”で選ぶ処方とは?

婦人科でよく使われる漢方5選|月経痛・PMS・更年期の“証”で選ぶ処方とは?

「生理前になるとイライラする」「月経痛がつらい」「更年期に入ってから不調が続く」
——これらの悩み、多くの女性が一度は経験するのではないでしょうか。

西洋医学ではホルモンバランスの変化として捉えられるこれらの症状も、
漢方では体質=“証(しょう)”に基づいて原因を分析し、アプローチします。

本記事では、婦人科系の不調に対してよく使われる代表的な漢方処方を、
症状別に中医学の理論に基づいて5つ厳選</strongし、それぞれの“証”とともにご紹介します。


1. 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)|血虚・水滞・冷えのある体質に

対応する症状:月経不順・冷え性・貧血傾向・むくみ・不妊傾向

「血」が不足していて、体を温める力が弱く、「水(津液)」の巡りが悪いタイプに向きます。
色白でやせ型・虚弱体質の女性に多く用いられます。

代表的な証:血虚+脾虚+寒湿(水滞)


2. 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)|瘀血による月経トラブルに

対応する症状:月経痛・経血に塊・子宮筋腫・月経不順・肌荒れ・くすみ

「瘀血(おけつ)」=血の巡りが悪く、下腹部のうっ血感・しこり感・イライラを伴うタイプ。
体格がしっかりしていて、月経トラブルが“重い・痛い”人に適応します。

代表的な証:瘀血+気滞


3. 加味逍遥散(かみしょうようさん)|ストレスと月経不調が同時にあるタイプに

対応する症状:PMS(情緒不安定・怒り・不眠)・生理前の頭痛・胸の張り

「肝気鬱結(かんきうっけつ)」=気の巡りが滞り、情緒とホルモンが不安定になる体質。
イライラ・怒りっぽさ・気分の浮き沈みが目立つ場合に使われます。

代表的な証:肝気鬱結+血虚+虚熱


4. 温経湯(うんけいとう)|不妊・冷え・不正出血に

対応する症状:月経不順・不妊・子宮内膜症・不正出血・手足の冷え

「寒(冷え)」が体内に残り、「血」の巡りと「気」の巡りを妨げているタイプ。
冷え・血虚・瘀血が複雑に絡んでいる体質に使用されます。

代表的な証:衝任脈の寒滞+血虚+瘀血


5. 知柏地黄丸(ちばくじおうがん)|更年期のほてり・寝汗・不安感に

対応する症状:更年期障害・のぼせ・寝汗・イライラ・不眠・皮膚の乾燥

「腎陰虚(じんいんきょ)」=身体を潤す力が足りず、虚熱が現れるタイプ。
特に更年期前後で、のぼせ・情緒不安・不眠が強い方に向いています。

代表的な証:腎陰虚+虚熱


まとめ|婦人科漢方の基本は「証」による使い分け

同じ“月経痛”でも、その人の体質によって使う漢方は全く異なります。
瘀血なら「桂枝茯苓丸」、血虚や冷えなら「当帰芍薬散」、ストレスが関与すれば「加味逍遥散」…

このように、中医学では病名よりも“証(しょう)”=体質と状態を重視して処方を選びます。

婦人科トラブルを根本から整えるためにも、
「自分の証を知る」ことが最初のステップです。

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