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【第11回】柴胡桂枝乾姜湯を構成から読み解く──虚労・冷え・不安感に対する“補肝腎・温裏”の処方構造
柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)は、虚弱体質・慢性疲労・冷え・神経症様の症状に対する代表処方です。寒熱錯雑・虚実夾雑のパターンに対し、肝腎を補い、温裏し、心神を安定させる中薬の配合設計を紐解きます。
🌿 処方の全体像:寒熱・虚実のバランスを整える構成
柴胡桂枝乾姜湯は、以下の7味から成ります:
- 👑 君薬:柴胡(さいこ)
- 🧠 臣薬:黄芩(おうごん)、乾姜(かんきょう)
- 🛡 佐薬:桂枝(けいし)、牡蠣(ぼれい)
- 🔗 使薬:甘草(かんぞう)
この処方は、熱のように見えるが実は寒、という“寒熱錯雑”の見立てに基づいて設計されています。
👑 君薬:柴胡──寒熱交錯の本治薬
柴胡は、肝鬱による気機の停滞を疏通し、寒熱往来や胸脇苦満を改善します。肝気の調整と半表半裏の主治薬として、核心を担います。
🧠 臣薬:黄芩と乾姜──裏熱と裏寒を同時に調える
- 黄芩:清熱薬。虚熱や慢性炎症、肝胆熱に対応
- 乾姜:温裏薬。脾胃や腎の冷え、手足の冷え、不安感を鎮める
このペアが寒熱錯雑の調整を可能にしています。
🛡 佐薬:桂枝と牡蠣──表寒と情緒不安を整える
- 桂枝:表の寒を発散し、衛気の巡りを改善
- 牡蠣:鎮静・安神・軟堅作用があり、神経過敏・動悸・焦燥感に対応
桂枝と牡蠣は、外部と内部の緊張緩和に作用します。
🔗 使薬:甘草──調和と脾気のサポート
甘草は、補気・緩和・諸薬調整の3役をこなします。乾姜との併用で温補作用が強化されます。
📈 構造的理解:「温裏+安神」の処方基盤
柴胡桂枝乾姜湯の特徴は、以下の3層構造にあります:
- 1️⃣ 調気疏肝:柴胡・黄芩
- 2️⃣ 温補裏寒:乾姜・甘草・桂枝
- 3️⃣ 安神鎮静:牡蠣
冷えと情緒不安が複合した虚証において、特に高い有用性を発揮します。
📘 まとめ|虚労・冷え・不安感への包括的アプローチ
柴胡桂枝乾姜湯は、虚実の弁証が必要な複雑症状に用いる処方です。気の流れを整え、冷えを温め、心を落ち着ける──それらを一包で担う“多層型方剤”として、現代のストレス疾患にも応用が可能です。
また本シリーズでは、他の処方についても中薬の構成から深掘りしています。
ぜひ、下記より他の記事もご覧いただき、理解を深めてください。
🔧 補足情報
- 本記事の構成は、『中医方剤学』『漢方処方のトリセツ』『中薬学』等を統合的に参照し、実践解釈に基づいて整理。
- 臨床鑑別ポイント:
- 🔻 虚熱・冷えの混在、慢性疲労、神経過敏、不眠、動悸、肋間部の不快感
- 🔻 中高年の虚労、更年期障害、神経性冷え症など
- 中薬分類(中薬学準拠):
- 🌿 疏肝薬:柴胡
- 🔥 清熱薬:黄芩
- 🔥 温裏薬:乾姜、桂枝、甘草
- 🧘 安神薬:牡蠣