【中薬×処方読解:第14回】生脈散を構成から読み解く─気と津液を同時に補う三位一体の滋養戦略

【第14回】生脈散を構成から読み解く──気と津液を同時に補う三位一体の滋養戦略

生脈散は、汗で失われた「気」と「津液(体液)」を同時に補う代表処方です。補気・養陰・生津の三位一体によって、脱力・動悸・乾燥感といった虚脱状態を立て直す処方構成を解説します。

 

 

🌿 処方の全体像:たった三味で命を生かす処方

生脈散は、以下の3味で構成されています:

  • 👑 君薬:人参(にんじん)
  • 🧠 臣薬:麦門冬(ばくもんどう)
  • 🔗 使薬:五味子(ごみし)

「生脈」とは“脈を生かす”という意味で、まさに「虚脱状態を立て直す要方」です。

 

 

👑 君薬:人参──気を補って元気を取り戻す

人参は強力な補気薬であり、呼吸の浅さ・動悸・倦怠感など「気虚」による症状を根本から支えます。

 

 

🧠 臣薬:麦門冬──陰を養い津液を生む

麦門冬は潤い不足や咳・乾燥感に働く**養陰・生津薬**。
気を補うだけでなく、**“乾いた内臓”を潤す**という重要な役割を担います。

 

 

🔗 使薬:五味子──収斂と気陰の安定化

五味子は収斂作用により、汗や津液の過剰な喪失を防ぎます。
さらに肺気を収め、呼吸の安定化にも貢献する存在です。

 

 

📈 構造的配伍:気・陰・津液を一挙に立て直す

生脈散は、「補気(人参)・養陰(麦門冬)・収斂(五味子)」の3つの働きにより、心肺機能の虚損や気陰両虚状態をバランスよく立て直します。
少数精鋭の組み合わせによる戦略的滋養方です。

 

 

📘 まとめ|失われた生命力を取り戻す処方

生脈散は、汗が止まらない・脈が微弱・声に力がないといった虚脱状態に用いられる救急的な処方でもあります。
現代でもスポーツ後の脱水予防や慢性病後の回復期に応用され、**“少なくて深い構成”の妙**が光る処方です。

本シリーズでは、他の代表処方も構成中薬から読み解いております。
ぜひ下記より他の記事もご覧いただき、理解を深めてください。

 

 

🔧 補足情報

  • 📘 本記事の内容は、中医学の標準理論と臨床実践に基づき、教育的観点から整理・構成しています。
  • 🧪 君臣佐使や臨床鑑別に関する表現は、複数の中医薬文献の知見を統合した構造的理解を重視しています。
  • 📚 引用・参考文献の詳細は、参考文献一覧ページをご覧ください。

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