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【第10回】柴胡桂枝湯を構成から読み解く──少陽と太陽を“和合”する調和の処方戦略
柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)は、小柴胡湯に桂枝湯を加味したような構成をもち、外感と内傷、実と虚の交錯した状態に対応する“和合”の処方です。本記事では、その中薬の構成と臨床応用を、中医学的視点から読み解いていきます。
🌿 処方の全体像:少陽+太陽を同時に調える12味構成
柴胡桂枝湯は、以下の12味で構成されます:
- 👑 君薬:柴胡(さいこ)
- 🧠 臣薬:黄芩(おうごん)、桂枝(けいし)、芍薬(しゃくやく)
- 🛡 佐薬:半夏(はんげ)、大棗(たいそう)、人参(にんじん)、生姜(しょうきょう)
- 🔗 使薬:甘草(かんぞう)、朮(じゅつ)
太陽証(表証)と少陽証(半表半裏)の症候が混在する状態に用います。
👑 君薬:柴胡──少陽の主治薬
柴胡は少陽病の核心生薬であり、胸脇の鬱結や寒熱往来を解消します。内外の停滞を動かし、疏肝作用も担います。
🧠 臣薬:黄芩+桂枝+芍薬──熱と表の両側面を調える
- 黄芩:内熱を清し、肝胆の実熱に対応
- 桂枝:表寒を発散し、太陽経の流れを促進
- 芍薬:筋肉のけいれん・痛みに作用し、桂枝と対で調和を図る
これにより、半表半裏+表証の混在を一つの方剤で整理できます。
🛡 佐薬:中焦を守る裏方役
- 半夏・生姜:胃腸のつかえ・吐き気を抑える
- 人参・大棗:補気して中焦を整える
体力低下やストレス性の不調に対応する基盤を整えます。
🔗 使薬:甘草と朮──全体の調和と脾気の支え
- 甘草:処方全体をまとめ、緊張を和らげる
- 朮:水湿を捌き、脾を補うサポート役
複雑な病態において、処方の安定性を高めています。
📈 構造的理解:太陽+少陽を一処方で包み込む
柴胡桂枝湯は、「小柴胡湯」と「桂枝湯」を統合した構造を持ちます:
- 1️⃣ 少陽証対応:柴胡+黄芩
- 2️⃣ 表寒対応:桂枝+芍薬+生姜
- 3️⃣ 中焦の守り:半夏・人参・大棗・朮・甘草
実と虚・寒と熱・内と外を“和合”させる設計です。
📘 まとめ|調和こそが治療である処方
柴胡桂枝湯は、外邪の侵入と体力低下が共存する状態に対し、過不足なく対応できる貴重な方剤です。和解・調和をキーワードに、診立てと処方選択の視野を広げてくれます。
🔧 補足情報
- 本記事の構成は、『中医方剤学』『漢方処方のトリセツ』『中薬学』を参考に、実践的観点で整理しています。
- 臨床鑑別ポイント:
- 🔻 少陽+太陽証:寒熱往来・頭痛・腹痛・胸脇苦満・倦怠・関節痛
- 🔻 内外錯雑型の感冒・神経症・肝機能障害など
- 中薬分類(中薬学準拠):
- 🌿 疏肝薬:柴胡
- 🔥 清熱薬:黄芩
- 🌬 発表薬:桂枝・生姜
- 🌾 補気薬:人参・大棗・甘草
- 💧 利水薬:半夏・朮
- 💫 調和薬:芍薬