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【中薬×処方読解:第15回】柴胡疏肝散を構成から読み解く──ストレスによる気滞をさばく肝気調整方
柴胡疏肝散は、ストレスや怒りによる気滞を解きほぐす代表方剤です。柴胡・香附などの理気薬を中心に、肝気うっ滞による腹部膨満感・胸脇痛・月経不順などへの実践的構成を読み解きます。
🌿 処方の全体像:七味で気の流れを整える
柴胡疏肝散は以下の7味で構成されます:
- 👑 君薬:柴胡(さいこ)
- 🧠 臣薬:香附子(こうぶし)、川芎(せんきゅう)
- 🛡 佐薬:枳実(きじつ)、陳皮(ちんぴ)、白芍(びゃくしゃく)
- 🔗 使薬:甘草(かんぞう)
気の巡りを整えつつ、肝気うっ滞による不調を解消することを狙った処方です。
👑 君薬:柴胡──肝気を発散し、胸脇を開く
柴胡は、肝気の抑うつを解放し、胸脇部の閉塞感や張痛を軽減します。
ストレス・情緒不安に由来する“気の滞り”に対し、最前線で働きます。
🧠 臣薬:香附子・川芎──理気と活血の連携
- 香附子:女性の月経トラブルにも関わる肝の理気薬。肝気鬱結を解きほぐします。
- 川芎:活血薬として、気滞に伴う血の停滞も動かし、疼痛を軽減します。
気と血のバランスをとる組み合わせです。
🛡 佐薬:枳実・陳皮・白芍──調和と緩和の補助
- 枳実・陳皮:気の停滞による腹満や食欲不振に対応。
- 白芍:肝の陰血を補い、筋の緊張や痙攣を緩和。
理気作用を補助しつつ、気滞の影響で起こる脇腹や胃腸の症状に対処します。
🔗 使薬:甘草──全体を調和する潤滑剤
甘草は、補気と調和の両方の作用を持ち、処方全体のバランスを整える役割を担います。
📈 配伍設計:気滞と肝の情志バランスを取る方剤
柴胡疏肝散は、「情緒 → 肝気鬱結 → 気滞 → 痛みや不定愁訴」という流れに対応し、
その一つ一つの段階に合った中薬を配した、実践性の高い構成です。
📘 まとめ|“気の滞り”に向き合う肝気解法の基本
柴胡疏肝散は、気の流れが悪いときの処方選択の軸になります。
現代でも、PMS・ストレス性胃腸症状・イライラなどに使われることが多く、気の医学=中医学を理解するうえで欠かせない処方のひとつです。
本シリーズでは、他の代表処方も構成中薬から読み解いております。
ぜひ下記より他の記事もご覧いただき、理解を深めてください。
🔧 補足情報
- 📘 本記事の内容は、中医学の標準理論と臨床実践に基づき、教育的観点から整理・構成しています。
- 🧪 君臣佐使や臨床鑑別に関する表現は、複数の中医薬文献の知見を統合した構造的理解を重視しています。
- 📚 引用・参考文献の詳細は、参考文献一覧ページをご覧ください。