🌺 当帰(とうき)|血を補い、巡らせ、女性のリズムを支える聖薬
当帰(とうき)は、セリ科トウキ(Angelica sinensis)の根を用いた中薬で、補血・活血・調経・潤腸といった多彩な作用を持つ補血薬です。
特に婦人科領域における重要な薬とされ、月経不順・冷え・血虚・産後の回復など、女性の不調全般に用いられてきました。
🧾 基本情報
- 名称:当帰(とうき)
- 英名:Dong Quai / Chinese Angelica Root
- 学名:Angelica sinensis
- 使用部位:根
- 性味:甘・辛・温
- 帰経:肝・心・脾経
- 分類:補血薬
🌿 主な効能と中医学的働き
当帰は「血を補い、血を巡らせ、経を調える」三位一体の中薬です。
血虚(けっきょ)によるめまい・月経不順・冷え・倦怠感などに使われると同時に、瘀血の改善や潤腸通便にも対応します。
- 補血活血: 月経量の減少・色の悪さ・産後の回復・貧血傾向に。
- 調経止痛: 生理不順・月経痛・PMSなど女性特有の不調に。
- 潤腸通便: 血虚による乾燥性便秘を穏やかに改善。
特に冷え症・月経不順・疲れやすい女性に多く用いられ、「婦人科の聖薬」として広く親しまれています。
📚 応用される処方例と役割
- 当帰芍薬散: 血虚+水滞による冷え・生理不順・浮腫に。当帰が補血の主薬。
- 四物湯: 補血の基本処方。熟地黄・芍薬・川芎とともに血虚を整える。
- 加味逍遙散: イライラ・PMS・のぼせ・月経不順に。疏肝解鬱+補血で気血両調。
- 帰脾湯: 心脾両虚の不眠・不安・食欲不振に。補血補気の一翼を担う。
当帰は気を補う薬と一緒に用いることで「気血両補」の構造を成し、虚弱体質・産後・女性の多彩な悩みに応用されます。
🧪 成分と現代医学的知見
- フェルラ酸: 抗酸化・血行促進・抗血小板作用
- 精油成分(リグスチリドなど): 子宮収縮緩和・鎮痙・血管拡張
- 造血促進作用: 骨髄造血を促すとの動物実験報告あり
- 抗貧血・自律神経調整: 更年期症状や不定愁訴の軽減に期待
現代では婦人科症状・更年期障害・冷え性・抑うつなどへの応用が進み、健康食品の素材としても知られています。
📖 古典における記載
『神農本草経』では「上品」とされ、「補五臓・調血脈・止痛」に優れると記されています。
『本草綱目』では「補血の主薬」として、「一切の血病、女子の病に当帰を使わざれば調わず」とまで称されました。
⚠️ 注意点と禁忌
- 実熱・湿熱: 補血・温性のため、炎症性の疾患やほてり体質には慎重投与。
- 妊娠中: 活血作用があるため、高リスク妊婦には不向き。
- 多量長期使用: 滞った血を動かす力が強いため、過剰使用は逆効果に。
気虚や血瘀を見極めたうえでの配伍設計が重要です。
📝 まとめ
当帰は「補って巡らす」を両立する稀有な中薬。
月経不順・冷え・産後虚弱・PMSなど、女性にまつわるあらゆる“血”の不調に対応する聖薬として、古来より重宝されてきました。
また、補血薬の中でも「温性」「活血性」を併せ持つため、血虚だけでなく瘀血をともなう証にも柔軟に対応できます。
日々の不調や女性のライフステージに合わせて、当帰の力をぜひ上手に活用してまいりましょう。
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最後までお読みいただき、ありがとうございます。当帰の働きについて少しでも理解が深まりましたら幸いです。
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