【症状別に見る経絡とツボシリーズ|第13回】:鼻炎・花粉症──「肺・脾・腎」の弱りが引き起こすアレルギー症状

鼻炎・花粉症──「肺・脾・腎」の弱りが引き起こすアレルギー症状

くしゃみ、鼻水、鼻づまり……
毎年春になると悩まされる花粉症。慢性鼻炎に苦しむ人も少なくありません。
中医学ではこうした鼻の不調は、単なる外的刺激だけでなく、肺・脾・腎の機能低下や「風・寒・熱・湿」などの外邪侵入との関係で捉えます。

🌿 中医学で見る「鼻」と関係の深い臓腑

臓腑 主な働き 鼻との関係
宣発・粛降を司り、気をめぐらせる 「肺は鼻に開竅す」──鼻粘膜の防御力を主る
水湿の運化・気血の生成 水分代謝の乱れが痰湿を生じ、鼻づまりに
肺と通じ、水を主る 腎陽不足→肺機能低下→慢性鼻炎体質に

🩺 よくある「証」と鼻の不調の関係

  • 透明な鼻水・くしゃみ・寒がり → 肺気虚・風寒犯肺
  • 粘っこい鼻水・鼻づまり・のぼせ → 風熱犯肺・肺熱上炎
  • 慢性化・鼻づまり・嗅覚低下 → 脾虚・腎陽虚

🧭 関連する経絡と流注の特徴

  • 手の太陰肺経: 鼻孔周囲に終わり、外邪の侵入と深く関係。
  • 手の陽明大腸経: 鼻の外側(迎香)に至る。鼻閉や充血に影響。
  • 足の陽明胃経: 鼻根部に流注あり。湿熱や痰濁に対応。
  • 督脈: 鼻柱を通る。免疫調節・体力全体の底上げにも。

💡 鼻炎・花粉症に効果的なツボ

ツボ名 経絡 作用 位置
迎香(げいこう) 大腸経 鼻閉・鼻水に即効性 小鼻の外側のくぼみ
印堂(いんどう) 督脈 鼻づまり・集中力低下に 眉間の中央
上星(じょうせい) 督脈 鼻閉・頭重感 髪の生え際から1寸上
合谷(ごうこく) 大腸経 全身の免疫調整・鼻づまり 手の甲、親指と人差し指の間
足三里(あしさんり) 胃経 水湿代謝を促進・全身強化 膝下外側

🌿 よく用いられる漢方処方

  • 小青竜湯: 水様鼻汁・くしゃみに。風寒+痰飲タイプに。
  • 荊芥連翹湯: 慢性鼻炎・蓄膿体質に。化膿傾向や皮膚炎も併発する人に。
  • 葛根湯加川芎辛夷: 鼻閉・花粉症に汎用。風寒型に。
  • 辛夷清肺湯: 湿熱・粘性鼻水・鼻閉に。体力ある人向け。

🧘‍♀️ セルフケアのヒント

  • 小鼻の両側の迎香ツボを数回ゆっくり指圧
  • 蒸しタオルで目・鼻・頬を温めることで経絡刺激
  • アレルギーを悪化させないよう甘いもの・乳製品を控える
  • 睡眠を十分に取り、免疫力を整える

🔚 まとめ

鼻の症状は中医学的に肺・脾・腎の虚弱や外邪の侵入が背景にあります。
「ツボ・経絡・漢方・生活改善」──この4本柱で対応することで、薬だけに頼らず、体質そのものを整えていく道が見えてきます。
次回は「咳・喘息」についてご紹介いたします。

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