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疲れた心に“なつめ”を|不安・涙もろさ・気虚に効く薬膳素材
「なんとなく心がざわつく」「理由もなく涙が出る」「ぼんやり疲れた感じが取れない」──
そんなとき、漢方では“なつめ”をすすめることがあります。
薬膳の世界では、なつめは“気と血を補い、心を安定させる”代表的な素材。
この記事では、感情と体をやさしく支える食材“なつめ”の魅力を、漢方の視点から深掘りしてご紹介します。
なつめとは?|東洋医学での位置づけ
なつめ(棗)はクロウメモドキ科の果実で、古来より“1日3粒食べれば老い知らず”といわれるほどの養生食材。
中医学では「補気養血・安神(あんしん)」の作用を持ち、気虚・血虚・心脾両虚・不安・不眠・PMSなどに応用されます。
漢方的分類
- 五性:温性(体をあたためる)
- 五味:甘味(補い、緩める)
- 帰経:脾・胃・心経
- 主な効能:補中益気/養血安神/脾胃を整える
なつめが向いている体質・感情タイプ
体質 | 主な不調 | なつめの役割 |
---|---|---|
気虚 | 疲れやすい/声が小さい/朝がつらい | 脾胃を補って気を養う |
血虚 | 顔色が悪い/眠りが浅い/涙もろい | 血を補い、心を安定させる |
心脾両虚 | 不安感/動悸/夢が多い | 心と脾を同時に補う養心食材 |
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日常に取り入れたい“なつめ”の使い方
基本的な使い方
- 種を取り、刻んで煮物やスープ、粥に
- 丸ごとハーブティーとして煎じる
- スライスして焼き菓子や薬膳茶に加える
おすすめレシピ:なつめとしょうがのやさしい薬膳茶
材料(1杯分)
- 乾燥なつめ:2粒(種を取る)
- スライスしょうが:1〜2枚
- お湯:200〜250ml
作り方
- なつめを刻み、しょうがと一緒にポットに入れる
- 熱湯を注いで5〜7分蒸らす
身体を芯から温めながら、こころをやわらかく包む一杯です。
組み合わせると効果的な素材
- 桂皮(シナモン):冷えがあるときに+補気+巡り
- 百合根:心をさらに鎮めたいときに
- 黒ごま:肝と腎を同時に補いたいときに
セルフケアとの併用|ツボと暮らし
おすすめのツボ
- 内関(ないかん):不安・胸のつかえに
- 神門(しんもん):心を静める、眠れないときに
暮らしのヒント
- “自分を甘やかす時間”に、なつめを一緒に
- 落ち着く香りと一緒に五感をリセット
- 寝る前に温かいなつめ茶を飲む習慣を
まとめ:こころを補う、あまくてやさしい果実
不安になりやすいとき、涙がこぼれるとき、
わたしたちは「こころを強くしよう」とします。
でも、漢方はこう考えます。
「こころを安定させるには、まず体の栄養=“気と血”を補うこと」。
今日の一粒が、あなたの気持ちをやさしく包んでくれるかもしれません。
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シリーズ: 薬膳食材 深掘りシリーズ