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小児科:子どもの体質と“脾虚” – 成長期を支える漢方の知恵
はじめに
「食が細く、すぐに体調を崩す」—— そんな子どもの体質に悩む親御さんは多いのではないでしょうか。
中医学では、こうした傾向を「脾虚(ひきょ)」と呼び、成長期特有の未成熟な消化機能によるものと考えます。
この記事では、子どもの脾虚体質について、中医学的な視点から原因と対策をやさしく解説し、日常生活での漢方的ケアをご紹介します。
脾虚とは – 子どもの「消化の弱さ」に注目
中医学において「脾」は、食べ物からエネルギー(気・血)を作り出す中心的な働きを担います。
子どもは本来、「脾常不足(ひつねにふそく)」といわれ、脾の機能が未熟なために、消化不良や体力不足が生じやすいと考えられています。
脾虚の主なサイン
- 食欲不振、偏食しやすい
- 顔色が青白く、元気がない
- 手足が冷たく、疲れやすい
- 風邪をひきやすく、長引く
- 軟便・下痢になりやすい
これらの症状は、成長期のエネルギー不足に直結し、発育への影響も懸念されます。
脾虚体質のケア – 中医学の考え方
中医学では、脾虚体質に対して「健脾(けんぴ)」という方法で脾の働きを高め、「温養(おんよう)」により体を冷えから守ります。
1. 食事の工夫
- 温かく消化にやさしい食事(お粥、スープ、蒸し野菜)
- 白米、さつまいも、かぼちゃなど脾を助ける食材
- 冷たい飲食物、甘すぎる物は控える
2. 生活リズムの整え方
- 夜更かしを避け、十分な睡眠を確保
- 過度な運動は避け、適度な遊びや体を動かす習慣
- 季節に応じた衣服調整で冷え対策を
漢方薬によるサポート – 子どもに使われる代表処方
脾虚体質に対して、中医学では以下のような漢方薬が処方されることがあります。
- 六君子湯(りっくんしとう)
胃腸の働きを高め、体力を補う代表的な処方。食欲不振、疲労、軟便に。 - 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
体力が低下し、免疫力が弱いタイプに。疲れやすく、風邪をひきやすい子どもに適応。
これらの漢方薬は、症状や体質により使い分けが必要なため、使用前に専門家への相談をおすすめします。
まとめ
子どもの脾虚体質は、成長過程における自然な一面でもあります。
大切なのは、脾をいたわり、食事・生活・漢方の力を活用して、無理なく健やかな発育を促すことです。
お子さまの体質に合わせたケアで、元気な日常を取り戻しましょう。