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アレルギー性鼻炎と中医学の体質別アプローチ|くしゃみ・鼻水の根本から整える方法
毎年春や秋になると、くしゃみ・鼻水・鼻づまりが止まらず、ティッシュが手放せない…。そんな「アレルギー性鼻炎(花粉症)」にお悩みの方も多いのではないでしょうか。市販薬や点鼻薬で一時的に症状を抑えても、またすぐぶり返す。根本から体質を整えたい——そんな方に中医学の視点は大きなヒントとなります。
現代医学でのアレルギー性鼻炎の定義と治療
アレルギー性鼻炎は、アレルゲン(花粉・ダニ・ハウスダストなど)に免疫系が過剰反応し、鼻粘膜に炎症が起こる病態です。分類は以下の通りです:
- 通年性:ハウスダスト・ダニ・ペットなどが原因
- 季節性:スギ・ヒノキ・ブタクサなどの花粉が原因(花粉症)
主な症状は、透明な鼻水、くしゃみ、鼻づまり、目のかゆみ、倦怠感などです。治療は抗ヒスタミン薬や点鼻ステロイドが中心ですが、薬物療法では根本改善が難しく、再発しやすい点が課題です。
中医学から見るアレルギー性鼻炎の原因と証
中医学では、アレルギー性鼻炎は「外邪(風寒・風熱)」が侵入しやすい体質=衛気不足(免疫のバリア低下)が根本原因と考えます。以下の臓腑の機能低下が複合していることが多いです:
- 肺虚:外邪を防ぐ力が弱まり、くしゃみ・鼻水が出やすい
- 脾虚:水分代謝が悪くなり、鼻水やむくみが起きやすい
- 腎虚:体の根本的な虚弱があり、慢性的に症状が長引く
体質別にみるアレルギー性鼻炎の証
1. 肺気虚タイプ
- くしゃみ・鼻水が頻繁で止まらない
- 風邪をひきやすい、朝が弱い
- 舌は淡く、白い苔がうっすら
2. 脾気虚タイプ
- 鼻水と同時に、胃腸の弱さ(軟便・倦怠感)がある
- 食欲がなく、水分代謝も悪い
3. 腎陽虚タイプ
- 冷え性、夜間頻尿、慢性疲労がある
- くしゃみが止まらず、鼻づまりが強い
4. 風寒型(発症初期)
- 透明な鼻水、寒気、くしゃみ連発、ゾクゾクする
5. 風熱型(炎症期)
- 黄色い粘性鼻水、鼻づまり、頭重感、微熱・目のかゆみ
証に応じた代表的な漢方処方
● 肺気虚
- 玉屏風散:体表の防御力を強化する予防的処方
- 補中益気湯:疲れやすく、風邪をひきやすい体質に
● 脾気虚
- 六君子湯:胃腸機能を整えつつ、鼻水を改善
- 参苓白朮散:軟便・疲労感が強い人に
● 腎陽虚
- 八味地黄丸:下半身の冷え・頻尿がある場合
● 風寒型
- 小青竜湯:水様性鼻水+咳・寒気に
● 風熱型
- 辛夷清肺湯:黄色い鼻水・頭痛・鼻閉がある場合に
薬膳と生活養生のポイント
潤肺・補気に役立つ食材
- 白きくらげ、れんこん、大根、百合根(肺を潤す)
- 山芋、もち米、かぼちゃ、ハトムギ(脾を補う)
- 黒豆、くるみ、黒ごま、羊肉(腎を温める)
生活のコツ
- マスクと加湿で鼻粘膜の保護を
- 起床後の白湯、寝る前の足湯で温活
- 朝の深呼吸、夜のストレッチで気の巡りを整える
まとめ|“アレルギー体質”から整える中医学的ヒント
アレルギー性鼻炎は、単なる“鼻の病気”ではなく、体全体のバリア機能=衛気・肺・脾・腎の働きと深く関係しています。
中医学では「症状」ではなく「証(体質)」を見て対応するため、根本体質からの改善が目指せます。