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頭痛・片頭痛の体質別アプローチ|中医学で「痛みの根本」を整える
「いつもの頭痛薬が効かない」「天気やストレスで痛みがぶり返す」「肩こりと一緒に頭が重い」——
そんな慢性的な頭痛や片頭痛に悩む方へ、中医学の視点から“体質に合わせた対策”をご提案します。
この記事では、現代医学における頭痛の分類と治療に触れつつ、中医学の「証(しょう)」による見立てと、
それに基づく漢方・薬膳・セルフケアについて詳しく解説します。
現代医学における頭痛の分類と治療
現代医学では頭痛は以下の3つに大別されます:
- 緊張型頭痛:ストレス・肩こり・姿勢不良が原因。両側性で鈍い痛み
- 片頭痛:片側のズキズキする痛み。光・音・吐き気を伴うことも
- 群発頭痛:目の奥が激しく痛む。一定の周期で起こる。男性に多い
治療は鎮痛薬、トリプタン製剤、血管拡張抑制薬などによる対症療法が中心です。しかし、体質や生活の根本に踏み込むことは少なく、再発を繰り返す方も少なくありません。
中医学での頭痛の見立て|五臓と気血水のバランス
中医学では頭痛は「痛みが発生する部位の“気血の巡りの停滞”」と考え、次のような要因が組み合わさっていると見立てます:
- 外邪(風寒・風熱)の侵入による急性頭痛
- 肝陽上亢:イライラ・ストレス・のぼせなどによる“気の上昇”
- 気血不足・血虚:栄養不足により脳が養われず痛む
- 瘀血(おけつ):血行が滞り、慢性的な鈍痛・刺すような痛み
- 腎虚:慢性疲労・加齢による「精」の不足
体質別にみる頭痛のタイプと症状
風寒型(風邪・気温変化で痛む)
- 後頭部に冷たい痛み・寒気・首筋のこり
- 発熱・鼻水など風邪症状を伴う
風熱型(のぼせ・熱感のある頭痛)
- 頭が重い・ズキズキする・微熱・喉の痛み
- 顔のほてり・便秘ぎみ・口渇あり
肝陽上亢型(ストレス・怒り・緊張で悪化)
- こめかみ〜頭頂部にズキズキ・怒りやすい
- 目の充血・耳鳴り・不眠傾向
血虚型(貧血体質・月経後に悪化)
- 全体的に鈍痛・フラフラ・顔色が悪い
- 目の疲れ・めまい・爪が割れやすい
瘀血型(慢性・刺すような痛み)
- 慢性で固定的な部位の刺痛・舌に瘀斑
- 事故や外傷後・更年期・血の巡りが悪い人に
腎虚型(慢性疲労・老化に伴う痛み)
- 頭頂部の重だるさ・耳鳴り・腰膝の弱さ
- 記憶力低下・夜間頻尿・疲労感あり
代表的な漢方処方と応用例
- 川芎茶調散:風寒型。寒気・肩こりを伴う頭痛に
- 釣藤散:肝陽上亢型。高血圧気味・のぼせ・慢性片頭痛に
- 加味逍遥散:女性ホルモン変動・血虚+気滞・月経周期性頭痛
- 通導散:瘀血型。血行不良・刺痛・慢性頭痛
- 天麻鈎藤飲:肝陽・肝風型。高血圧・ふらつき・緊張型頭痛に
薬膳・生活習慣で整える方法
- 肝の疏泄を促す:しそ・みょうが・柑橘類・菊花茶
- 血を養う:ほうれん草・なつめ・黒ごま・レバー
- 瘀血改善:黒豆・山楂・紅花・玉ねぎ
- 腎を補う:くるみ・黒きくらげ・山薬・山芋
また、目の使いすぎ、夜更かし、食べすぎ飲みすぎなども頭痛を助長します。
まとめ|“頭痛体質”を見極め、根本から整える
頭痛は単に“痛み”の問題ではなく、全身の巡り・五臓のアンバランスが背景にあると中医学では捉えます。
鎮痛剤に頼る前に、まずはご自身の体質(証)を見極め、「なぜその痛みが起きるのか?」という視点を持つことが、真の改善につながります。