40代からのメンタル不調に|“肝鬱”“気滞”を整える漢方と生活習慣

40代からのメンタル不調に|“肝鬱”“気滞”を整える漢方と生活習慣

40代を迎えた頃から「なんとなく心が晴れない」「イライラしやすくなった」「やる気が出ない」──そんな不調を感じていませんか?
これらは単なる気分の問題ではなく、身体の内側で起きている“気”の滞りによるサインかもしれません。
中医学では、情緒と深く関わる「肝」の働きが乱れることで、心身にさまざまな不調が現れると考えます。特に“肝鬱”や“気滞”といった証は、40代女性に多く見られる心身の揺らぎの核心です。
本記事では、メンタル不調の中医学的な見立てとともに、漢方薬・薬膳・ツボといったセルフケア法をやさしく解説してまいります。
気持ちがふっと軽くなるきっかけとして、どうぞお役立てください。

導入:なんとなく心が晴れない──それは“肝”のサインかも

「眠れない」「イライラする」「やる気が出ない」──40代に差しかかると、これまでとは違うメンタルの揺らぎを感じる方が増えてきます。中医学では「肝(かん)」という臓腑の働きが深く関与していると考えられています。「肝鬱(かんうつ)」や「気滞(きたい)」という概念を軸に、心と身体の整え方を探っていきましょう。

現代医学の視点:40代に多いメンタルの揺らぎとは?

  • 更年期に向けたホルモン変化(エストロゲン低下)
  • 家庭・職場での心理的ストレス
  • 自律神経の乱れ
  • 睡眠障害や慢性的な疲労

中医学での見立て:気の流れが滞る「肝鬱気滞」

肝の働きとは?

中医学における「肝」は、情緒や気の流れを調整する臓腑です。主な作用は以下の2点:

  1. 疏泄(そせつ)作用:気や情緒の巡りを調整
  2. 蔵血(ぞうけつ)作用:血を貯蔵し、必要時に供給

「肝鬱・気滞」の主な症状

  • 気分が落ち込みやすい・塞ぐ感じがある
  • イライラ・怒りっぽい
  • 胸や喉が詰まった感じ
  • ゲップやため息が多い
  • 月経前の情緒不安定

証分類と体質別の特徴

証名 特徴
肝気鬱結 ストレスで気が詰まり、情緒不安・月経不順などが出る
気鬱化火 気滞が長引き、イライラ・口苦・不眠などが現れる
肝鬱脾虚 ストレスが胃腸機能にも影響し、食欲不振や下痢を伴う

処方選択:肝気を巡らせてメンタルを整える漢方

柴胡疏肝散(さいこそかんさん)

気滞による胃腸不調や脇腹の張りがある方に。

加味逍遥散(かみしょうようさん)

PMSや血虚傾向がある女性に最適。疲れやすく、ほてりがある方に。

丹梔逍遥散(たんししょうようさん)

加味逍遥散に清熱作用を加えた処方。イライラや口苦が強い方に。

✅薬膳セルフケア|春の「肝」を整える食材と季節感

五性・五味の基本

  • 五性:涼性・平性
  • 五味:苦味・辛味・軽い酸味

おすすめ食材

分類 食材例
気の巡りを促す セロリ、春菊、柑橘、ミント
肝を養う クコの実、黒豆、ほうれん草、ブロッコリー
清熱作用 菊花、緑茶、きゅうり、トマト
甘味で緩和 はちみつ、さつまいも、山芋

調理のポイント

香りの良い葉物野菜や柑橘類を活用し、酸味は控えめにバランスを取ります。

✅経絡セルフケア|“気の滞り”を流すツボ刺激

ツボ名 経絡 作用
太衝(たいしょう) 肝経 気の巡りを促進・情緒を整える
内関(ないかん) 心包経 ストレス、不眠、動悸
合谷(ごうこく) 大腸経 頭痛、肩こり、全身調整
肝兪(かんゆ) 膀胱経 肝機能の強化、情緒安定

セルフケア方法

  1. 1つのツボを左右交互に5秒×10回
  2. 太衝と内関は朝、合谷は日中やストレス時に
  3. 市販のお灸を用いるなら太衝・肝兪がおすすめ

まとめ:肝の気を解き放ち、自分らしさを取り戻す

「なんとなく不調」の正体が見えてきたら、それは回復への第一歩。肝鬱・気滞という体質に気づいた今こそ、漢方・薬膳・経絡ケアを取り入れて、自分自身を整える暮らしを始めてみませんか?

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