疲れた胃腸をやさしく支える“もち米”|脾を補い、冷えと疲れに効く薬膳素材
「食欲がない」「お腹がゆるい」「なんとなく冷える」──
そんなときに使える薬膳素材が、“もち米”です。
お祝いごとの食材という印象が強いもち米ですが、漢方では“脾(ひ)を補い、体を温め、気を養う”穀類として重宝されてきました。
この記事では、回復期や冷え・疲労がたまっている時にぴったりの、もち米の薬膳的効能とやさしい取り入れ方をご紹介します。
もち米の薬膳的プロフィール
もち米は「糯米(じょまい)」と呼ばれ、五臓の「脾」を補う力が強い穀物。
胃腸虚弱・冷え性・疲労・産後・病後などの体力回復や気血補充に活用されてきました。
漢方的分類
- 五性:温性
- 五味:甘味
- 帰経:脾・胃・肺
- 主な効能:補中益気・健脾止瀉・温中・収斂作用
もち米が合う体質・症状
体質 | 特徴 | 主な適応 |
---|---|---|
脾虚体質 | 胃腸が弱い/軟便/疲れやすい | 食欲不振・朝のだるさ・水太り |
陽虚体質 | 冷えやすい/寒がり/元気が出ない | お腹が冷える・手足が冷たい |
回復期/産後 | 出血後・産後・病後 | 体力回復・胃腸の立て直し・気血補充 |
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もち米の取り入れ方と簡単レシピ
調理ポイント
- 洗って30分以上浸水 → 柔らかく炊くと消化に◎
- 粥・雑炊・おこわ・団子・スープのとろみ付けに
- 胃腸虚弱の方は“少量から”が基本
おすすめレシピ:なつめと山芋のもち米がゆ
材料(2人分)
- もち米:1/2合
- なつめ:2粒(種を除いて刻む)
- 山芋:50g(角切り)
- 水:600ml
- 塩:少々
作り方
- もち米と水、なつめを鍋に入れ、弱火でとろとろに煮る
- 仕上げに山芋を加えて少し煮込み、塩で整える
胃腸にやさしく、朝の補気・補血にぴったりの一杯です。
併用したい素材とセルフケア
相性の良い素材
- 山芋:健脾補気/胃腸ケアに相乗効果
- くるみ:補腎・補陽・疲労回復に
- しょうが:内側から温めたいときに
おすすめのツボ
- 中脘(ちゅうかん):みぞおちとへその間/胃の疲れに
- 足三里(あしさんり):胃腸・気力の補充に万能
まとめ:温めて補う“やさしい主食”
もち米は、薬膳の世界で「温めながら補う穀物」として古くから親しまれています。
疲れたとき、食欲がないとき、なんだか落ち着かないとき…。
そんな日に、やさしい一椀のもち米料理を。
あなたの体に“気と温かさ”を、そっと戻してくれることでしょう。
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