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💉 麻酔科(ペインクリニック)と漢方の関係|慢性痛・神経痛を“証”から整える
「どこへ行っても痛みが取れない」「慢性的な神経痛や関節痛に悩んでいる」
そうした方が訪れるのが、麻酔科・ペインクリニックです。
漢方では、痛みは「気・血・水の巡りが滞ったサイン」と捉え、
一時的な鎮痛ではなく、痛みが起こる体質そのものを整えることを目指します。
この記事では、腰痛・坐骨神経痛・帯状疱疹後神経痛・慢性頭痛など、
麻酔科・ペイン領域における代表的な痛みに対して、中医学的な証分類と漢方処方をわかりやすくご紹介いたします。
📚 中医学における「痛み」の捉え方
中医学では、痛みは「不通則痛(つうぜずすればすなわち痛む)」=
気血水の停滞や不足により、経絡の流れが阻害されることによって生じると考えます。
また、痛みの性質や部位によって、主に次のような証(体質分類)に分けられます:
- 気滞血瘀: 刺すような痛み(気の停滞・血のうっ滞)
- 寒湿痺: 冷え+湿気による関節・筋肉の重だるさ
- 風寒湿痺: 天候によって悪化する、移動性の痛み
- 肝腎不足: 加齢や虚弱体質に伴う慢性痛
🦵 1. 坐骨神経痛・腰痛|「寒湿痺」「瘀血」「腎虚」タイプ
❄️ 寒湿タイプ(冷えると痛む/重だるい)
- 独活寄生湯
- 桂枝加朮附湯
🩸 瘀血タイプ(刺すような痛み・慢性化)
- 疎経活血湯
- 桂枝茯苓丸
🧓 腎虚タイプ(冷え・だるさ・疲れやすい)
- 八味地黄丸
- 牛車腎気丸
🌡 2. 帯状疱疹後神経痛(PHN)|「気血両虚」「瘀血」「陰虚火旺」タイプ
🩸 瘀血+気虚タイプ(刺痛・慢性化・体力低下)
- 疎経活血湯
- 補中益気湯
🔥 陰虚火旺タイプ(寝汗・ほてり・夜間痛)
- 知柏地黄丸
- 天王補心丹
🧠 3. 頭痛・緊張型頭痛|「肝陽上亢」「瘀血」「気滞」タイプ
😠 肝陽上亢タイプ(怒りっぽい/ストレス性)
- 釣藤散
- 加味逍遥散
🎯 瘀血タイプ(固定痛/事故後)
- 通導散
- 血府逐瘀湯
🍲 生活養生のポイント|痛み体質を整える食材と工夫
🧄 おすすめ食材(温めて巡らせる)
- しょうが・ねぎ・にんにく・黒豆・シナモン
- 黒きくらげ・なつめ・サフラン・当帰・杜仲茶
🛁 セルフケアの工夫
- 入浴や足湯で下半身を温める
- 痛みの部位を冷やさないよう保温
- ストレッチや深呼吸で「気の巡り」をサポート
🔍 まとめ|「鎮める」のではなく「整える」漢方の視点
慢性的な痛みは、鎮痛剤だけでは根本的な改善が難しいケースも多く、
その背景にある「体質の偏り=証」を見直すことが必要です。
中医学では、痛みを「経絡の詰まり」「気血の巡り不足」と捉え、
その人に合った証と処方で、根本から体を整えるという視点を持ちます。