ストレスで胃腸がやられている?|男性に多い「肝脾不和」とは
「ストレスで胃が痛い」「食べたいのに食べられない」「お腹が張ってゲップが止まらない」――
そんな胃腸の不調、ただの食べすぎやストレスのせいだと思っていませんか?
漢方では、このような症状の背景にある体質を「肝脾不和(かんぴふわ)」と呼びます。
特に30〜50代の働き盛りの男性に多く見られるタイプで、ストレスと胃腸の関係を深く理解することで、的確な対処が可能になります。
この記事では、肝脾不和の特徴、よくある症状、体質タイプ別の漢方処方、そして日常の養生ポイントまで詳しく解説します。
肝脾不和とは?
漢方において「肝」は感情を司り、「脾(=胃腸)」は食べたものを気(エネルギー)に変える役割を担います。
肝の気(ストレス・情緒)が乱れると、胃腸(脾)を攻撃し、その結果、胃もたれや腹部膨満・軟便・食欲不振などが起こります。
つまり「肝脾不和」とは、ストレスが胃腸を傷める状態を指します。
よくある症状
- 食後の胃のつかえ感、もたれ
- ゲップ・腹部の張り・ガスが溜まりやすい
- 食欲不振または過食衝動
- 軟便・下痢(特にストレス後)
- イライラ・ため息が多い・緊張しやすい
- 眠りが浅い、目覚めが早い
これらは「肝気鬱結(かんきうっけつ)」と「脾虚(ひきょ)」の混合状態であり、現代で言う「自律神経の乱れ」「ストレス性胃腸炎」に非常に近い状態です。
男性に多い理由とは?
男性は感情を言葉にするのが苦手な傾向があり、感情を「肝」に溜め込みやすい傾向があります。
仕事の責任・家族の期待・社会的役割など、プレッシャーが多い世代ほど「肝気の滞り」=ストレスが溜まりやすくなります。
また、飲酒・脂っこい食事・深夜の食事などの生活習慣が、さらに脾胃を弱め、肝脾のバランスを崩しやすくしてしまいます。
肝脾不和に使われる代表処方
1. 柴胡疎肝湯(さいこそかんとう)
ストレスでお腹が張る・ゲップが止まらないタイプに。
肝気を巡らせ、気滞による腹部症状を和らげます。
2. 半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
みぞおちのつかえ・下痢・吐き気・ストレスによる胃腸症状に。
寒熱錯雑の調整と、中焦の不和に対応します。
3. 加味逍遥散(かみしょうようさん)
精神的ストレスが強く、胃腸も弱く、疲労も感じやすいタイプに。
肝気鬱結+血虚の併発タイプに使用。
4. 香蘇散(こうそさん)
ストレスで食欲がわかず、風邪や冷えを伴う初期症状に。
軽症〜虚弱な人向け。
養生ポイント:ストレスに負けない胃腸を育てる
1. 食事のポイント
- 早食い・ながら食べを避ける
- 冷たいもの・脂っこいものは控える
- 梅干し・大根・シソなど、気を巡らせる食材を取り入れる
2. ストレス対策
- ため息や深呼吸を意識して、気の滞りを流す
- ウォーキングなど軽い運動で肝気の発散を
- スマホ・情報過多を制限して脳の緊張を緩める
3. 睡眠・休息
- 23時までに就寝(肝の修復時間)
- 朝食をしっかり摂る(脾胃の活性化)
まとめ|「気持ち」と「胃腸」はつながっている
ストレスで胃が痛い・張る・食べられない――それは単なる消化器の問題ではなく、心身のバランスの乱れです。
肝脾不和は、放置すると自律神経失調症、慢性胃炎、過敏性腸症候群にもつながるため、早めの体質改善と漢方的アプローチが重要です。
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