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夜間頻尿で眠れない高齢者へ|漢方で整える排尿と睡眠のケア方法
「夜中に何度もトイレに起きてしまい、眠れない」「睡眠不足で日中もぼんやり…」
そんな夜間頻尿は、高齢者の生活の質を大きく下げる悩みのひとつです。
西洋医学では前立腺や膀胱機能の問題として捉えることが多いですが、漢方では“腎の衰え”や“気の不足”など体質全体のバランスの乱れと考えます。
この記事では、夜間頻尿と不眠がセットで起きている高齢者の方へ向けて、体質別の漢方処方と生活改善アドバイスをご紹介します。
夜間頻尿とは?
就寝後から起床までの間に、2回以上排尿で目が覚める状態を「夜間頻尿」と言います。
高齢者では加齢に伴う腎機能の低下、膀胱容量の減少、睡眠の質の低下が重なり、夜間頻尿と不眠が悪循環になりやすいのです。
中医学で考える「夜間頻尿と不眠」
漢方では、夜間頻尿の背景にある証(しょう)は主に以下の3タイプです:
① 腎陽虚タイプ(高齢者の典型)
- 寒がりで手足が冷たい
- 頻尿・夜間排尿が多い
- 足腰のだるさ、無力感
- 耳鳴り、性機能低下
代表処方:八味地黄丸、牛車腎気丸
② 脾腎両虚タイプ(体力がない・栄養不足)
- 疲れやすく食が細い
- 尿が出るけど力が弱い
- 眠りが浅く、すぐ目覚める
代表処方:六君子湯+八味地黄丸、参苓白朮散
③ 心腎不交タイプ(不眠+排尿トラブル)
- 眠りが浅く、夢を多く見る
- 日中に強い不安感・焦燥感がある
- 動悸や口の渇きがある
代表処方:天王補心丹、黄連阿膠湯
生活でできる夜間頻尿対策
① 就寝前の水分調整
- 夕食以降は水分量を控えめに
- カフェイン・アルコールは避ける
- 冷たい飲み物は控え、白湯に切り替える
② 排尿リズムの調整
- 日中は水分をしっかり摂り、尿を出す
- 寝る前に1回、余裕を持ってトイレへ
③ 睡眠環境の工夫
- 夜間の室温・湿度を一定に保つ
- 電気毛布・足元カイロなどで冷え対策
- 夜間トイレのために足元灯を設置
おすすめの薬膳素材
- 黒ごま・くるみ:腎精を補う
- なつめ・桂皮:温めて気を巡らせる
- 百合根・蓮の実:心を穏やかにし、安眠をサポート
- 山薬(やまいも):脾腎を補い、尿トラブルにも対応
まとめ|「よく眠れない」には理由がある
夜間頻尿は、単なる排尿トラブルではなく、腎の弱り、冷え、睡眠の質の低下などが複雑に絡み合った結果として起きています。
漢方では「夜の排尿を減らす」だけでなく、体質そのものを整え、快眠できる体に近づけるアプローチが可能です。
気になる方は、ぜひ一度、体質チェックやご相談を。
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