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高齢者の冷えに効く漢方と薬膳|足元から整える体質改善のすすめ
「靴下を重ねても足が冷たい」「お風呂に入ってもすぐ冷える」――
高齢者の“冷え”は、ただの寒がりではありません。血流・代謝・筋力の低下など、さまざまな衰えのサインとして現れる重要な症状です。
特に足元の冷えは転倒リスクや睡眠障害、消化不良などにもつながるため、早めの体質改善がカギとなります。
この記事では、冷え体質のタイプ別に使われる漢方処方と、毎日の食事に取り入れやすい薬膳素材、生活習慣での工夫までを詳しく解説いたします。
高齢者の冷えが起きる理由とは?
加齢とともに「陽気(体を温めるエネルギー)」が不足しやすく、また筋肉量や血液循環の低下により熱が作られにくくなります。
主な原因
- 腎陽虚(腎の温める力の低下)
- 気血不足(全身のエネルギーと血液の不足)
- 血流停滞(瘀血)
- 胃腸虚弱(脾気虚による代謝の低下)
冷えタイプ別|体質を見極めるポイント
1. 腎陽虚タイプ(足腰が冷える・頻尿)
- 足腰がだるく冷える
- 尿が近く、夜間頻尿もある
- 下痢・軟便傾向、むくみ
代表処方:八味地黄丸、牛車腎気丸、真武湯
2. 血虚・気血両虚タイプ(顔色が悪い・手足が冷たい)
- 食が細い、疲れやすい
- 冷え性で顔色が白く、動悸もある
- 便秘・不眠がち
代表処方:十全大補湯、人参養栄湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯
3. 瘀血タイプ(血の巡りが悪く冷える)
- 手足の先端が冷たい
- 肩こり・しびれ・関節痛がある
- 舌が紫っぽい
代表処方:桂枝茯苓丸、当帰芍薬散、温経湯
冷えに効く薬膳素材と食材
体を温める「陽性食品」
- 生姜(加熱)
- ねぎ、にんにく
- シナモン(桂皮)
- 黒ごま、黒豆
- 羊肉、鶏肉
血を補い、巡らせる食材
- なつめ
- クコの実
- ほうれん草、にんじん
おすすめの薬膳メニュー例
- 鶏と山芋の温かいスープ
- 黒ごまとくるみ入りお粥
- なつめと生姜の薬膳茶
日常生活での冷え対策
1. 足元の温めを徹底
- 足湯(40℃前後、10〜15分)
- 湯たんぽ・レッグウォーマー
- 日中も厚手の靴下を
2. 運動で陽気を高める
- ウォーキング、太極拳など軽い運動
- ふくらはぎのストレッチ・マッサージ
3. 睡眠・呼吸を整える
- 23時前に寝る(腎の養生時間)
- 深い呼吸で気の巡りをサポート
まとめ|冷えは“老化の加速”を招くシグナル
「高齢者の冷え」はただの生活習慣ではなく、腎・血・気の衰えを知らせる重要な体のサインです。
冷えの原因を見極め、体質に合った漢方と薬膳で整えていくことが、元気な老後を支える第一歩となります。