心がザワつくときは“百合根”を|眠れない・不安な夜に効く薬膳素材
「夜になると不安が増す」「布団に入っても心が休まらない」
そんなとき、漢方では“百合根(ゆりね)”を取り入れることがあります。
薬膳の世界で百合根は、心をやさしく鎮め、不安や焦燥を静めてくれる素材として重宝されてきました。
この記事では、百合根の効能や体質との相性、簡単レシピまでをご紹介いたします。
百合根とは?|漢方での位置づけ
百合根はユリ科の鱗茎部分で、柔らかい甘みと粘性があり、養生料理でもよく使われます。
中医学では主に「養陰潤肺・清心安神」の作用を持ち、陰虚・心陰虚・肺陰虚・不眠・情緒不安に適しています。
漢方的分類
- 五性:微寒(やや冷やす)
- 五味:甘・微苦
- 帰経:心・肺経
- 主な効能:養陰潤肺・清心安神
百合根が合う体質・症状
体質 | 特徴 | 主な適応症状 |
---|---|---|
心陰虚 | 不安感/焦燥/不眠/寝汗 | 夢が多い/動悸/寝つきが悪い |
肺陰虚 | 乾いた咳/喉の渇き/肌の乾燥 | 空咳/声のかすれ/微熱 |
陰虚+情緒不安 | 心がザワつく/眠れない/涙もろい | 孤独感/焦り/慢性疲労 |
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百合根の使い方とレシピ
取り入れ方
- 茶碗蒸し、スープ、お粥、甘煮などに
- 乾燥百合根は水戻し後に加熱調理
- 煮崩れしにくく、他食材と組み合わせやすい
おすすめレシピ:百合根と豆腐のとろとろ薬膳スープ
材料(2人分)
- 百合根:30g(生 or 戻す)
- 豆腐:1/2丁(さいの目)
- 干し椎茸:2枚(戻して刻む)
- だし汁:400ml
- 塩・薄口しょうゆ:少々
作り方
- だし汁で百合根と椎茸をやわらかく煮る
- 豆腐を加えて調味し、やさしく温める
夜の眠れない時間に、心を静かに包んでくれる一品です。
組み合わせたい食材とセルフケア
相性の良い素材
- なつめ:補血安神。疲れ・不安感のある方に
- 百合花(薬膳茶):さらに養心・鎮静効果
- はちみつ:百合根の苦味を和らげ、潤いを補う
おすすめのツボ
- 神門(しんもん):手首の小指側のくぼみ/眠れない・不安に
- 内関(ないかん):手首から指3本下の中央/情緒の安定に
まとめ:心を鎮めるやさしい白
百合根は、心がふわつくとき、「静けさを食べる」ような感覚で寄り添ってくれます。
不安、焦り、眠れない夜──そのすべてに、「ただ温かく、やさしい味」が救いになることがあります。
眠れぬ夜の台所に、ひと片の百合根を。
その一杯が、あなたの内側に“静けさ”を取り戻してくれるかもしれません。
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