子どもの便秘に使える漢方薬は?
「子どもが数日お通じがなく、つらそうにしている」──そんなご相談を日常的にいただきます。
便秘は大人だけでなく、小児にとっても生活の質(QOL)に影響を与える大きな問題。特に薬を使うことへの不安が強いため、「できればやさしい方法で解決したい」という声が非常に多いです。
本記事では、子どもの便秘に用いられる漢方薬と、その選び方・注意点を薬剤師×国際中医師の視点からご紹介します。
ご相談事例から:5歳男児のケース
「5歳の息子が、ここ3日ほど便が出ていません。お腹が張っているようで、本人もつらそうです。
小児科で下剤をもらったこともありますが、できれば自然な方法でなんとかしたい。
漢方は子どもにも使えますか?」
このような相談は少なくありません。実際、漢方は子どもの便秘にも安全に使える選択肢の一つです。
なぜ子どもは便秘になりやすいのか?
中医学の視点では、子どもの体は「臓腑嬌嫩(じょうふきょうどん)」とされ、まだ発育の途中でバランスが崩れやすい存在です。
とくに以下の原因が多く見られます:
- 胃腸の未発達による「脾虚(ひきょ)」
- 食べ過ぎ・冷たいものの摂取
- 生活習慣の乱れ(朝食抜き・水分不足)
- 緊張・ストレス(幼稚園・保育園などの環境変化)
これらに応じて、漢方の選び方が変わってきます。
小児便秘に用いられる代表的な漢方薬
小建中湯(しょうけんちゅうとう)
胃腸が弱く、お腹が張りやすいタイプに。
甘みがあり、小児にも比較的飲みやすい処方です。
大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)
緊急性のある強い便秘に。
便を出す力を高める作用がありますが、使いすぎには注意。
麻子仁丸(ましにんがん)
腸の乾燥による便秘に。潤す力を持ち、慢性的な便秘に効果があります。
年齢や体格により調整が必要です。
桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)
腹部の緊張が強く、ガスがたまりやすい子に。
腸の蠕動運動を穏やかに整えるタイプの処方です。
漢方を使う際のポイント
- 年齢・体重に応じた用量調整が必要(専門家に相談)
- 味や香りに慣れていない子には、服薬指導が重要
- 体質を見極めて、漫然と使わないこと
- 便秘以外の症状(食欲、元気の有無)も必ず確認
小児は体調の変化が早いため、症状に合わせた柔軟な対応が大切です。
セルフケアと生活改善のヒント
- 朝ごはんで温かい汁物をプラス
- 白湯や麦茶など水分をこまめに
- 野菜や海藻・きのこ類を意識的に摂取
- お腹のマッサージ(のの字マッサージ)
- 十分な遊び・運動時間を確保
薬だけに頼らず、日々のリズムを整えることが便秘改善への第一歩です。
私からのアドバイス
便秘が続くと、お子さま本人も不快を感じ、不機嫌になったり、食欲が低下したりと全体の体調にも影響が出てきます。
市販の下剤に頼る前に、まずは漢方や薬膳的な視点からやさしくアプローチしてみることをおすすめします。
もちろん、医療機関との併用や安全性も大切です。迷ったときは、どうぞお気軽にご相談ください。
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