ツムラブシ末|冷えて痛む神経痛・関節痛に──体を芯から温める附子の力

ツムラブシ末|冷えて痛む神経痛・関節痛に──体を芯から温める附子の力

しびれるような痛み、冷えると悪化する関節痛、長引く神経痛──これらは「寒」によって血流が滞り、経絡が塞がれることで起きる可能性があります。
ツムラブシ末(ぶしまつ)は、附子(ブシ)を精製加工した単味製剤であり、体を温め、痛みを和らげる温補散寒の力をもっています。
本記事では、薬剤師向けに附子の薬理・適応・使用方法・安全性を明確に解説いたします。

 

 

 

📘 基本情報と成分

  • 製品名:ツムラブシ末(ぶしまつ)
  • 成分:附子(加工ブシ)末 100%
  • 分類:単味製剤(温補薬)
  • 製造販売:株式会社ツムラ

 

 

 

🔍 効能・効果

  • 神経痛
  • 関節痛(変形性関節症・腰痛・五十肩など)
  • 冷えを伴う慢性疼痛(坐骨神経痛・腰下肢痛)
  • 筋肉のこわばり・冷感性のこり

 

 

 

🧪 薬理作用と使用意図

  • 温補陽気:体内の陽気を補い、冷えや虚寒を改善
  • 散寒止痛:寒邪によって引き起こされる疼痛を緩和
  • 通絡止痺:経絡の通りを改善し、しびれ・こわばりに対応

他の漢方処方と併用し、痛みの中心に“温めて通す”作用を追加するのがブシ末の真骨頂です。

 

 

 

🔬 使用方法と用量

  • 通常:1回0.2〜0.5g、1日2〜3回、他方剤(例:八味地黄丸・疎経活血湯など)に混合して服用
  • 使用前に:医師・薬剤師の判断により投与開始、特に高齢者・低体力者では慎重投与
  • 外用(湿布への添加)としての使用例もあり(医療機関管理下)

 

 

 

📦 製剤情報と入手

  • 剤形:粉末(微粉末・褐色〜黄褐色)
  • 包装単位:500g/瓶、分包など(医療機関・薬局向け)
  • OTC販売:なし(要医師・薬剤師管理)

 

 

 

💊 副作用と注意点

  • 高用量では口唇しびれ・動悸・のぼせなど(附子中毒の軽微な兆候)
  • 腎機能障害・心疾患・高血圧症のある患者では慎重投与
  • 1g以上の単回服用は基本的に推奨されない(蓄積毒性リスク)

 

 

 

🔁 他処方との併用・鑑別

  • 八味地黄丸+ブシ末:下肢冷感・頻尿・腰痛のある高齢者に
  • 疎経活血湯+ブシ末:寒冷悪化型の坐骨神経痛・関節痛に
  • 真武湯:附子を主成分とする寒湿+脾腎陽虚証

 

 

 

 

👨‍⚕️ 服薬指導のポイント

  • 「服用後に口のしびれ、のぼせ、動悸が出ないか」を初回確認
  • 単剤での長期服用は避け、他方剤との併用を基本とする
  • 冷え性で実熱がないことを確認し、他疾患との鑑別が必須

 

 

🔚 まとめ|“芯から冷える痛み”に──温めて通す附子の力、慎重かつ的確に活かす

ツムラブシ末(附子末)は、寒冷により悪化する関節痛・神経痛・冷え性由来の疼痛に対して、温陽・通絡・止痛の力で根本改善を促す強力な生薬です。
薬剤師は、体質・併用処方・副作用の兆候を丁寧に評価し、適応疾患と使用量を厳密に管理する必要があります。

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