怒りが爆発する前に|“肝火”を鎮めるための漢方的ヒント

怒りが爆発する前に|“肝火”を鎮めるための漢方的ヒント

「ちょっとしたことでイライラが止まらない」「声を荒げてしまって自己嫌悪」「頭に血がのぼるような感じがする」──
それは、漢方でいう“肝火(かんか)”が上がっている状態かもしれません。
この記事では、怒りのエネルギーを漢方的に読み解き、“爆発する前にできる”セルフケアと薬膳をご紹介します。


“肝火”とは?|感情が熱を持つ状態

中医学では、“肝”は気の流れや感情(特に怒)と深く関係する臓腑です。
この肝にストレスや熱がこもると“火”となって上昇し、怒り・のぼせ・頭痛・目の充血などを引き起こします。
これが、いわゆる“肝火上炎(かんかじょうえん)”の状態です。

肝火タイプに見られる症状

  • 怒りっぽい/衝動的/興奮しやすい
  • 頭痛・こめかみの痛み・顔が赤くなる
  • 目の充血・口が苦い・口内炎
  • 不眠・夢が多い・耳鳴り

肝火を鎮める薬膳アプローチ

“火”は熱を帯びたエネルギーなので、清熱(せいねつ)・瀉火(しゃか)・疏肝(そかん)の食材で整えるのが基本です。

おすすめの食材

  • セロリ:肝を鎮め、気を巡らせる
  • 菊花(きくか):目の疲れ・高ぶりを冷ます
  • トマト:清熱・解毒・食べやすい
  • 緑豆:熱を冷ます/ストレスによるほてりに◎
  • 小松菜・空心菜:苦味で肝火を鎮める

簡単レシピ|セロリと緑豆の冷製スープ

材料(2人分)

  • セロリ 1/2本(薄切り)
  • 緑豆(ゆで)50g
  • トマト 1/2個(ざく切り)
  • だし汁 400ml
  • 塩・薄口しょうゆ 少々

作り方

  1. だし汁でトマトとセロリをさっと煮る
  2. 緑豆を加え、冷やして味を整える

のぼせやすい時期や、怒りがこみ上げる時にぴったりの薬膳スープです。


ツボと習慣で“火”を下げるセルフケア

ツボケア

  • 太衝(たいしょう):足の甲、親指と人差し指の間 → 肝の気を整え、怒りを鎮める
  • 風池(ふうち):うなじの両側 → 頭痛・のぼせに

日常の工夫

  • 「熱を加える」刺激(激しい運動・長風呂)を控える
  • 深呼吸+ゆっくりした歩行で“下におろす”意識
  • “引き算”の時間(1人の静かな時間)を日常に

まとめ:怒りを責めずに、体からケアする

怒ってしまう自分を責めるのではなく、「今は肝火が高ぶっているのかも」と受け止める。
それだけでも、気持ちは少しやわらぎます。
食べもの・ツボ・生活リズムで、火を静かに鎮める時間を持ちましょう。
心と体はひとつ──自分を整えることが、怒りの連鎖を断つ第一歩になります。

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