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疲れすぎて眠れない?|“気血両虚”・“心脾両虚”タイプのための安眠ケア
「ぐったり疲れているのに、なかなか眠れない」
「寝つけても、何度も目が覚める」「夢ばかり見て熟睡できない」
そんな不眠のお悩み、実は“疲れすぎ”が原因かもしれません。
中医学では、過労や心配ごとが続くと「気血(きけつ)」が不足し、さらに心と脾の働きが弱まることで、
眠る力そのものが落ちてしまうと考えます。
この記事では、「気血両虚」「心脾両虚」タイプの不眠症状に向けた、
漢方・薬膳・セルフケアを薬剤師 × 国際中医師の視点からご紹介いたします。
中医学で見る「疲労による不眠」のしくみ
不眠といえば「興奮・ストレス」が原因と思われがちですが、
実は「エネルギー不足」「精神を安定させる血の不足」によって、
眠れない・眠りが浅いという現象も起こります。
主な原因となる証(体質)
- 気血両虚:気と血が両方不足。疲れ・冷え・眠りの質低下
- 心脾両虚:思い悩みや過労によって、心と脾が弱まるタイプ
このタイプの不眠は、「眠りたいのに、眠れない」「休んでも疲れが取れない」といった症状が多く見られます。
セルフチェック|あなたは“虚労型の不眠”かも?
- 疲れているのに、寝つきが悪い
- 夢をよく見る・何度も目が覚める
- 顔色が白っぽい・ふらつきやすい
- 食欲不振・軟便・胃のもたれ
- 動悸や不安感がある
- 仕事・人間関係で気疲れが多い
複数当てはまる方は、「気血両虚」「心脾両虚」の不眠タイプの可能性があります。
おすすめの漢方処方
① 加味帰脾湯(かみきひとう)
気血を補いながら、不安・緊張・心配による不眠を改善。女性にも多用されます。
② 酸棗仁湯(さんそうにんとう)
虚労・多夢・寝つきの悪さに。眠りを穏やかに深める名方。
③ 天王補心丹(てんのうほしんたん)
陰虚+心神不安タイプに。疲労・焦燥・不安感をともなう場合に適応。
④ 桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
虚証+神経過敏・夜間覚醒・動悸がある方に。
安眠を促す薬膳素材
1. 血を補い、心を養う素材
- なつめ・クコの実・黒ごま・ほうれん草・レバー
- 卵黄・小松菜・百合根
2. 神経の緊張を鎮める素材
- 小麦・蓮の実・酸棗仁・ハスの葉
おすすめレシピ
- なつめとクコの実のおかゆ
- 百合根と小松菜の蒸し煮
- 黒ごまときなこの温豆乳ドリンク
眠りを改善するセルフケア
1. 寝る前2時間は“スマホ断ち”
- ブルーライトは交感神経を刺激。体内時計を乱します
2. 就寝1時間前の「入浴+深呼吸」
- 38〜40℃の湯船に15分。副交感神経を優位に
3. 寝室は「暗・静・温」
- 照明・音・空調に配慮し、五感をリセットする空間に
まとめ|“疲れすぎて眠れない”は、体からのSOS
眠れないから休めない、休めないからさらに疲れる——
この悪循環を断ち切るには、まずは「体質」を見直すことが大切です。
漢方と薬膳は、体の奥から「眠る力」を取り戻してくれる助けになります。
1日の終わりに、心と体に“静けさ”を取り戻す時間を。
少しの工夫と選択で、あなたの眠りは必ず変わっていきます。