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風邪をひきやすい子に|免疫を整える薬膳と中医学の知恵
「季節の変わり目に毎回風邪をひく」「治ったと思ったらまた鼻水…」――
そんな風邪をくり返す子どもにお悩みのご家庭は多いのではないでしょうか。
西洋医学では、対症療法として解熱薬や抗生物質が使われますが、根本的な体質改善はなかなか難しいのが実情です。
中医学(東洋医学)では、子どもの風邪を「免疫力の弱さ」=肺・脾・腎のバランスの乱れと捉え、未病(病気になる前)に整えるという考え方でアプローチしていきます。
この記事では、風邪をひきやすい子どもの体質傾向と、それに合った漢方・薬膳・家庭でできるケアを、薬剤師 × 国際中医師の視点からやさしく解説します。
なぜ子どもは風邪をひきやすいのか?
中医学では「小児は臓腑嬌嫩(きょうどん)、形気未充(けいきみじゅう)」とされ、内臓機能が未発達で、外からの邪(風邪・寒邪)に弱いと考えられています。
主な原因
- 肺気虚(はいききょ):免疫の弱さ、呼吸器の虚弱
- 脾虚(ひきょ):胃腸が弱く、栄養の吸収が悪い
- 腎精不足(じんせいぶそく):成長発育が遅く、体力がない
これらが複合して、風邪・感染症を繰り返す原因となります。
体質別の漢方処方
① 玉屏風散(ぎょくへいふうさん)
「風を防ぐ壁」という名の通り、免疫バリアを強化する代表処方。
くしゃみ・鼻水・風邪をひきやすい子に。
② 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
疲れやすく、風邪をひくと回復が遅いタイプに。
食欲がない、下痢しやすい子にも。
③ 六君子湯(りっくんしとう)
脾胃(消化機能)を整えることで、免疫力を底上げ。
食が細く、風邪+胃腸症状を起こしやすいタイプに。
薬膳で免疫を底上げする食材
肺を強くする食材
- 白きくらげ:潤して咳を防ぐ
- はちみつ:のどを守り、体を潤す
- 大根:咳や痰に効果的
脾を補う食材
- 山芋:脾と肺を同時に補う
- かぼちゃ・にんじん:消化力を助ける
- もち米:気を補うエネルギー源
腎を養う食材
- 黒豆・くるみ:腎精を補い、体力をつける
- 鶏肉・卵:高たんぱく・滋養強壮
おすすめメニュー
- 山芋と鶏肉の薬膳スープ
- 白きくらげと梨のコンポート
- かぼちゃと大根のやさしい煮物
風邪をひかない子に育てる生活習慣
1. 睡眠・休息をしっかり
- 21時までに就寝を心がける
- 睡眠時間は年齢+1時間を意識
2. 深呼吸・鼻呼吸の習慣
- 鼻呼吸は肺の防御力(肺衛気)を高める
- 深い呼吸は自律神経を整える
3. 運動・外遊びで気を巡らせる
- 1日30分は体を動かす
- 外気に触れることで皮膚の免疫が鍛えられる
まとめ|体質を知れば、風邪を防げる
「風邪をひきやすい」は、子どもの未熟な免疫機能のサインです。
漢方や薬膳で体質を整えることで、風邪をひきにくい“丈夫な子”に育てていくことは可能です。
薬に頼りすぎず、子どものからだの声に耳を傾けることが、最大の予防法かもしれません。