イライラしやすい人は『肝実タイプ』かも?|怒りと体調の東洋医学的関係

イライラしやすい人は「肝実タイプ」かも?|怒りと体調の東洋医学的関係

「なんであんなこと言われたんだろう」「また同じことの繰り返し…」――

ちょっとしたことでイライラ・怒りを感じてしまうこと、ありませんか?

ストレスが溜まっている、性格の問題?それとも…。

実は中医学(東洋医学)では、「怒り」や「イライラ」は“肝”の働きと密接に関係していると考えます。

この記事では、「怒りやすい性格」と「肝の不調」を結びつける中医学的な見方と、体質改善のための漢方・薬膳・セルフケアをご紹介します。


「怒り」と「肝」はどう関係するの?

中医学では、五臓(肝・心・脾・肺・腎)にそれぞれ感情が結びついており、「怒り」は肝に属すとされます。

肝は「疏泄(そせつ)」と呼ばれる、気を巡らせる機能を担っており、この機能が乱れると「気滞(きたい)」=気が詰まり、イライラ・抑うつ・怒りが表れやすくなるのです。


あなたは「肝実タイプ」かも?セルフチェック

以下のような症状が多く当てはまる場合、肝実(肝気鬱結・肝火上炎)の体質傾向があるかもしれません。

  • すぐに怒りっぽくなる、言葉がきつくなる
  • ため息が多い、胸が張って苦しい
  • 目が充血しやすい、視力が疲れやすい
  • のぼせ、顔のほてり、頭痛
  • 月経前に怒りっぽくなる、胸が張る
  • 便秘や軟便をくり返す

これらは肝の気が昇りすぎたり、熱化している(肝火)状態の可能性があります。


肝実タイプに用いられる漢方処方

① 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

イライラ・怒りっぽさ・動悸・不眠を伴うストレス過多に。

② 加味逍遥散(かみしょうようさん)

女性の月経前症状(PMS)や更年期のイライラ・情緒不安定に。

③ 抑肝散(よくかんさん)

興奮・緊張・怒りが強く出るタイプに。子どもにも使われます。

④ 竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)

肝火が強く、赤み・熱感・怒りが激しい場合に。


肝の気を鎮めるおすすめ薬膳素材

1. 気を巡らせる食材

  • 柑橘類(ゆず、みかん、陳皮)
  • 紫蘇・ミント・三つ葉
  • ジャスミン茶・菊花茶

2. 苦味で肝火を下げる食材

  • ゴーヤ、ふき、緑茶
  • セロリ、トマト、春菊

3. 血を養って心を安定させる食材

  • なつめ、クコの実、黒ごま、ほうれん草

おすすめレシピ

  • セロリと春雨のさっぱり和え
  • ミントとジャスミンのブレンドティー
  • クコの実とほうれん草の中華炒め

日常でできるイライラ対策

1. 深呼吸とストレッチ

  • 「ふーっ」と息を長く吐くことを意識
  • 肩甲骨・背中をゆっくり動かす

2. 夜ふかし・寝不足を避ける

  • 肝のリズムは「23時〜3時」
  • この時間に深く眠ることが肝の養生になります

3. 春は特に気をつける

  • 春は肝が活発になりすぎて乱れやすい季節
  • 旬の野菜(菜の花・セリ・山菜)で気を巡らせましょう

まとめ|「イライラ」は体からのSOSかもしれません

「怒りっぽい」「イライラする」という感情は、単なる性格ではなく、肝の気の乱れや体のアンバランスのサインかもしれません。

中医学では、性格や感情の傾向も体質と一体としてとらえ、整えていくことを目指します。

ご自身や身近な人の「感情の不安定さ」が気になるときは、ぜひ一度、体のバランスから見直してみてください。

 

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