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産後の体調不良と漢方ケア – 血虚と気虚の回復法
はじめに
出産後、体がだるい、疲れやすい、めまいがする…。
こうした産後の体調不良は、多くの女性が経験するものです。中医学では、これを「血虚(けっきょ)」と「気虚(ききょ)」という二つの体質的な変化によるものと考えます。
この記事では、産後に起こりやすい不調の原因と、体質に合わせた漢方ケアについてご紹介します。
中医学で考える産後の体調不良
出産は「血を消耗する大きな出来事」とされ、中医学では「亡血傷気(ぼうけつしょうき)」という概念で説明されます。
つまり、血虚(血の不足)と気虚(エネルギーの不足)が同時に起こりやすく、これが産後の体調不良の根本原因になります。
血虚のサイン
- めまい、立ちくらみ
- 動悸、不安感
- 顔色が青白く、つやがない
- 肌や髪の乾燥、爪が割れやすい
気虚のサイン
- 全身のだるさ、疲れやすい
- 声が小さく、息切れしやすい
- 食欲がない、胃腸が弱い
- 汗をかきやすく、風邪をひきやすい
血虚・気虚に対する漢方的ケア
産後の体調回復には、血と気の両方を補うことが大切です。
1. 食事での養生
- 血を補う食材:ほうれん草、にんじん、黒きくらげ、レバー
- 気を補う食材:山芋、なつめ、もち米、鶏肉
- 温かいスープ、煮物などで、体を内側から温める
2. 休息と生活リズム
- 産後1ヶ月は無理をせず、休養を優先
- 冷えを防ぎ、十分な睡眠を取る
- 心を穏やかに保ち、ストレスを避ける
おすすめの漢方薬
産後の血虚・気虚に対しては、以下の漢方薬がよく用いられます。
- 八珍湯(はっちんとう)
血と気の両方を補う代表的な処方。産後の体力回復に効果的です。 - 当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)
体を温め、血を補う作用があり、腹痛や冷えを伴う方に。 - 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
特に気虚が強い場合に。疲れやすさ、食欲不振、めまいなどに適応。
漢方薬は個人の体質や症状に応じて選ぶことが大切です。専門家に相談し、適切な処方を受けましょう。
まとめ
産後の体調不良は、気血の消耗が原因とされます。中医学では、体質に応じたケアで、心身のバランスを整え、自然な回復を目指します。
食事、休息、そして漢方の力を取り入れ、健やかな産後の生活を送りましょう。