陰陽と五行|自然のリズムで身体を整える考え方
「陰陽」「五行」という言葉を聞いたことがありますか?
これらは中医学(漢方)の根本的な世界観を表すものであり、体質・季節・感情・臓腑すべてのベースになる考え方です。
この記事では、自然のリズムと身体の関係を読み解くための“陰陽五行理論”を、初心者にもわかりやすくご紹介します。
陰陽とは:「相反する2つの力」がバランスしている世界
「陰陽(いんよう)」は、光と影・動と静・男と女といった、相対するもの同士のバランスを示す考え方です。
自然も人間の体も、この“陰陽の調和”によって成り立っています。
陰と陽の代表例
陰 | 陽 |
---|---|
夜 | 昼 |
寒 | 熱 |
内臓の働き | 筋肉・動作 |
女性 | 男性 |
中医学では「病気=陰陽のバランスが崩れた状態」ととらえ、治療ではこのバランスを整えることを目的とします。
陰陽バランスの乱れで起こる不調
- 陰虚: 潤い不足・ほてり・のぼせ・不眠
- 陽虚: 冷え・疲れやすい・むくみ・下痢
五行とは:「自然の5つの要素」でからだを分類する理論
「木・火・土・金・水」──五行(ごぎょう)は、自然界にあるすべてのものを5つに分類し、互いに関係づけていく理論です。
この理論を応用して、臓腑・感情・季節・食材などを分類し、体と自然の調和をはかります。
五行の基本表
行 | 臓腑 | 季節 | 色 | 感情 |
---|---|---|---|---|
木 | 肝・胆 | 春 | 青 | 怒 |
火 | 心・小腸 | 夏 | 赤 | 喜 |
土 | 脾・胃 | 長夏(梅雨) | 黄 | 思 |
金 | 肺・大腸 | 秋 | 白 | 憂 |
水 | 腎・膀胱 | 冬 | 黒 | 恐 |
たとえば「春は肝の働きが活発になる」「怒りすぎると肝を傷める」といったように、季節や感情が体と関係する仕組みを説明できます。
陰陽五行で読み解く体質とセルフケア
中医学では、あなたの体質も「陰陽」「五行」のどこに偏っているかで見立てていきます。
体の冷えが強ければ「陽虚」、潤い不足でのぼせるなら「陰虚」、怒りっぽくて春に不調が出やすければ「肝の偏り」──といった形です。
体質セルフチェックの入り口
- 冷えやすい/疲れやすい → 陽虚
- のぼせ/寝汗/肌の乾燥 → 陰虚
- 春にイライラ/目の疲れ → 肝タイプ
あなたの体にどんな偏りがあるのかを知ることが、漢方を活用する第一歩です。
まとめ:自然の一部として自分の体をとらえ直す
陰陽と五行は、漢方の根本でありながら、実は日常生活にも深くつながっています。
自然の季節のように、私たちの体もゆらぎ、巡り、整っていくもの──
漢方は、そんな「自然の流れ」に自分の体をやさしく調和させていく方法なのです。
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