高齢者の便秘に効く漢方3選|介護現場でも使える自然な排便サポート法
「何日も出ていない」「出てもコロコロ」「下剤ばかりでお腹が痛い」――
高齢者の便秘は、生活の質(QOL)を大きく左右するだけでなく、転倒・食欲不振・認知機能低下などにも関わる重要な健康課題です。
西洋医学では下剤や整腸剤が主な選択肢ですが、体にやさしく、根本から改善したいという声も多く聞かれます。
漢方では、便秘のタイプや体力・体質に応じて適切な処方を選ぶことで、自然な排便リズムの回復をめざします。
この記事では、介護・家庭現場でも活用できる高齢者の便秘に使える漢方処方3選と、体質別の見極め方、食事・生活の工夫を解説いたします。
高齢者の便秘が起きる原因とは?
- 加齢により腸の蠕動運動が弱まる
- 水分・食物繊維の摂取不足
- 筋力低下・トイレの我慢
- 複数の薬剤(抗コリン薬・鉄剤など)の影響
- 運動不足や寝たきり状態
漢方ではこのような背景を踏まえ、便秘を以下のような「証(しょう)」で分類します:
- 実熱型:熱がこもって便が硬くなる(比較的体力がある人)
- 虚冷型:体力がなく、腸の力が弱まって便が出ない
- 陰虚型:水分が不足して乾燥便となる
1. 麻子仁丸(ましにんがん)|乾燥便+高齢者向きの代表処方
高齢者の便秘に最もよく使われる代表方剤。
「潤す+穏やかに出す」というバランスが良く、虚弱体質にも向いています。
適応する症状
- コロコロとした乾いた便
- 便意はあるが出にくい
- お腹の張りがある
- 体力が落ちてきた高齢者全般
注意:緩やかに効くため、即効性はやや劣りますが、腸内を潤しながらリズムを整えるのが特徴です。
2. 大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)|緊急対応にも使えるシンプル処方
大黄+甘草の2つだけで構成される、シンプルながら効果的な処方です。
下剤的に使われるが穏やかさもあり、現場では即効性のある選択肢として知られます。
適応する症状
- お腹が張って苦しい
- 熱はないが便が硬く出にくい
- 高齢者で排便に痛みを伴うとき
注意:長期常用には不向き。便通が滞ったときに一時的に使う補助処方として適します。
3. 潤腸湯(じゅんちょうとう)|陰虚+乾燥体質の便秘に
年齢とともに水分代謝が低下し、便が硬く乾いて出にくい場合に適応。
体を温めながら腸を潤し、便通を促す処方です。
適応する症状
- 顔や皮膚が乾燥している
- 舌が赤く、舌苔が少ない
- 熱感はないが、便が乾いている
- 排便後に疲れやすい
虚証+乾燥便という組み合わせの方に優しい処方です。
日常のケア|食事・生活習慣のポイント
1. 水分・油分の補給を意識
- 朝一番の白湯で腸を刺激
- ごま・オリーブオイル・えごま油など良質な油を取り入れる
2. 食材で腸を潤す
- はちみつ・りんご・バナナ・黒ごま・白きくらげなど
- 山芋・人参など胃腸にやさしい根菜類
3. 生活の工夫
- 毎日同じ時間にトイレに座る習慣づけ
- 足腰を温める、軽い腹部マッサージ
- 笑いやリラックスも腸の動きを助ける
まとめ|下剤に頼る前に「腸を整える」選択肢を
高齢者の便秘は、腸の機能そのものが弱っているサインでもあります。
漢方では、ただ「出す」だけではなく、「出せる体をつくる」ことを重視します。
腸を潤し、温め、自然なリズムを整える。
そんなやさしいアプローチで、排便の悩みを根本から見直してみませんか?
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