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薄毛・抜け毛の漢方的アプローチ|体質別に見る男性型脱毛のケア法
「最近、抜け毛が増えてきた…」「頭頂部が薄くなってきた気がする」
そんな悩みを抱える30代〜50代の男性は少なくありません。
脱毛は加齢や遺伝だけでなく、体質や内臓のバランスの乱れが関係していることも多く、漢方ではその根本を見極めて対応します。
この記事では、漢方的視点から見る「男性の脱毛のタイプ」と、それに対するアプローチをわかりやすく解説します。
漢方で考える「髪」とは?
中医学では、髪は「血の余り」、「腎の華」とされ、血液と腎精がしっかりと巡り、充実していることが健やかな髪を保つ条件と考えられています。
つまり、髪の状態は「体内の精・血・気」の状態を映すバロメーターなのです。
男性型脱毛症(AGA)はなぜ起こる?
西洋医学的にはDHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモンの影響が主とされていますが、漢方では「気血両虚」「腎精不足」「瘀血内停」などの体質バランスの崩れと捉えます。
とくに以下の3タイプが多くみられます:
1. 血虚タイプ|栄養不足・ストレスによる慢性脱毛
特徴:
- 髪が細く、パサついている
- 肌も乾燥しやすく、顔色が悪い
- 集中力低下、疲れやすい
- 夜更かし・食生活の乱れが多い
対策:血を補い、髪に栄養を届けることがカギ。補血薬と気血を巡らせる処方を使います。
代表処方:四物湯、当帰飲子、十全大補湯
2. 腎虚タイプ|老化・性機能の低下をともなう脱毛
特徴:
- 腰がだるい・足腰が冷える
- 耳鳴り・性欲減退・夜間頻尿
- 白髪が増えてきた
- 慢性的な疲労がある
対策:「腎精」を補うことが最重要。腎の働きを活性化する処方で、髪の根本を強化します。
代表処方:六味丸、八味地黄丸、杞菊地黄丸
3. 瘀血タイプ|血流不良・肩こり体質の脱毛
特徴:
- 頭皮が硬い・黒ずみや赤みがある
- 慢性的な肩こり・頭痛がある
- 舌に瘀点(紫色の点)がある
- 運動不足・飲酒・脂っこい食事が多い
対策:血の巡りを良くする「活血化瘀」作用をもつ処方で、頭皮の血流を改善します。
代表処方:桂枝茯苓丸、桃核承気湯、血府逐瘀湯
生活習慣の見直しも重要です
- 夜更かしを避け、23時前に就寝する
- 脂っこい食事・過度な飲酒を控える
- 適度な運動で頭皮の血流を促進する
- 頭皮マッサージや育毛剤も併用可
薬膳素材の活用法
- 黒ごま、くるみ:腎精を補い、白髪・脱毛に
- クコの実、なつめ:補血・美肌・ストレス緩和に
- 黒豆、山薬:腎・脾を補い、疲労対策に
まとめ|体質から髪を育てる漢方の魅力
男性の薄毛・抜け毛は、「見た目」だけでなく「体の中の状態」を映し出しているサインでもあります。
その人の証(しょう)をしっかり見極め、体質に合った処方と生活改善を併せて行うことで、髪の健康だけでなく全身のバランスも整っていきます。
あなたの脱毛はどのタイプですか?