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体質から考える二日酔いの漢方アプローチ|繰り返すつらさを中医学で整える
「昨日は飲みすぎた…」「朝から吐き気と頭痛で動けない」——そんな二日酔いの不快感、何度も経験したことがある方も多いのではないでしょうか。
市販薬やドリンクで一時的に症状を抑える方法もありますが、中医学では“その人の体質”に合わせて根本から整える視点があります。
この記事では、現代医学の仕組みに加え、中医学的な体質分類(証)と対処法、代表的な漢方や薬膳をご紹介します。
現代医学での二日酔いの原因と対策
二日酔いの主な原因は、肝臓で分解されるアルコールが、アセトアルデヒドという有害物質に変わり、それが体内に残ることです。
- 脱水症状による頭痛・倦怠感
- 胃酸分泌過多による吐き気・胸焼け
- 肝臓への過負荷による疲労感
現代医学的な対処は、水分補給・肝機能保護・電解質の補正などが中心ですが、体質差による影響は深く掘り下げられないのが現状です。
中医学での二日酔いの見立て
中医学では、二日酔いは次のような「証(しょう)」に分類されます:
- 湿熱内盛:アルコールによる体内の“熱と湿”の蓄積
- 肝鬱気滞:ストレス体質が加わって、気の巡りが滞る
- 脾胃虚弱:胃腸がもともと弱く、アルコール処理に負けてしまう
- 胃熱上逆:お酒で胃に熱がこもり、嘔吐やゲップが起きやすい
これらの証に応じた対処が、再発予防にもつながります。
体質別にみる証と特徴
1. 肝胆湿熱型
- 口の苦み・舌苔が黄色くべたつく
- 胸やけ・吐き気・頭重感・便がにおう
- 熱がこもり、イライラしやすい
2. 脾胃虚弱型
- 飲んだ翌日だけでなく、普段から胃腸が弱い
- 少量で悪酔い・胃もたれ・倦怠感
- 舌が淡く、歯痕あり
3. 気滞型
- ストレスがあると飲酒量が増える傾向
- 胸がつかえる・ゲップ・ガスが多い
- 便秘やイライラ・舌に赤み・苔が薄い
代表的な漢方処方と応用例
● 茵陳蒿湯(いんちんこうとう)
湿熱による口苦・嘔吐・黄疸・二日酔い・肝機能に対応
● 半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
脾胃虚弱・胃腸のつかえ感・食欲不振・嘔気に
● 加味逍遥散(かみしょうようさん)
気滞+ストレス・肝鬱タイプに。月経不順がある女性にも応用
● 葛花解酲湯(かっかげちょうとう)
飲酒後の頭痛・嘔吐・胸苦しさ・顔のほてりに。飲み過ぎの定番
薬膳素材・食養生|酒の前後にできること
飲む前
- 山芋・もち米・黒豆粥:脾を補い、お酒の吸収を緩やかに
- 生姜湯・菊花茶:体を温め、気の巡りを促す
飲んだ後・二日酔い対策
- スイカ・トマト・ハトムギ茶:清熱・利尿
- ウコン・緑豆・柿:解毒・二日酔いの頭痛や吐き気に
- 蜂蜜+白湯:胃の保護・排出促進
まとめ|「飲んだ後」から始める体質改善
二日酔いは、「アルコールが残る体」そのものがサインです。
単なる薬での対処ではなく、中医学の体質分類で自分の傾向を知り、“飲める体”ではなく“回復できる体”を作っていくことが大切です。