防風通聖散 vs 荊芥連翹湯|にきび・皮膚炎の処方を体質でどう使い分ける?
皮膚のトラブルに漢方薬が効く、とよく聞くけれど「どれを選べばいいの?」と悩まれる方は多いものです。特に、にきびや皮膚炎は見た目に出るため気になりやすく、薬を選ぶ際にも慎重になってしまいます。
この記事では、にきび・皮膚炎に用いられる代表的な漢方処方『防風通聖散』と『荊芥連翹湯』の違いについて、体質や病証の視点から比較し、適切な選び方をご紹介します。
「にきび」と一口に言っても、体質で使う薬は違う
現代人に多いにきびや皮膚炎の背景には、食生活の乱れ・ストレス・ホルモンバランスの乱調が潜んでいます。西洋医学では抗菌薬やステロイドで抑えますが、漢方ではその人の体質と内因的な要因を考慮して処方を選びます。
主に、以下のような体質に分けて考えるのが中医学の基本的なアプローチです:
- 実熱タイプ:赤み・腫れ・熱感のある炎症が強いタイプ
- 熱毒タイプ:膿や発赤がひどく、繰り返しやすい
- 血熱タイプ:ホルモンバランスやストレスにより悪化しやすいタイプ
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)とは?
体力がある実証タイプ向けの代表処方。皮膚の赤み、炎症、腫脹が強く、便秘や肥満傾向がある人に適しています。
構成生薬は多く、清熱・解毒・瀉下・利水のすべてが盛り込まれた、いわば“デトックス系フルパッケージ”処方です。
適応する症状の特徴:
- 顔全体が赤く、熱をもったにきび
- 便秘がちで、お腹が張りやすい
- 汗っかき・食べ過ぎ・肥満傾向
- いらいらしやすく、暑がり
ポイント:
便通を改善し、腸内環境を整えることで、肌の炎症を抑えていきます。下しやすい成分を含むため、体力のない人には注意が必要です。
荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)とは?
比較的虚証寄り〜中間体質の熱毒タイプに適する処方。皮膚の炎症が長引いている、繰り返している、膿を持つ、といった状態に用いられます。
こちらは解毒・清熱の方向が強く、湿熱・血熱による皮膚トラブルに対応します。
適応する症状の特徴:
- 膿を持ったにきびや吹き出物
- 慢性化しやすく、治っても再発する
- 赤黒く色素沈着しやすい
- 皮膚が脂っぽくベタつく
ポイント:
「清熱解毒」「活血」「祛風」の3方向から皮膚の熱を冷まし、慢性化するにきびや皮膚炎を根本から整える作用があります。防風通聖散ほどの瀉下力はないため、虚弱体質にも比較的使いやすいです。
2処方の使い分けまとめ
項目 | 防風通聖散 | 荊芥連翹湯 |
---|---|---|
タイプ | 実証・熱盛タイプ | 中間〜虚熱・熱毒タイプ |
主な症状 | 赤く腫れたにきび、便秘、体格がっちり | 膿・長引く皮膚炎・色素沈着・体力中庸 |
構成 | 清熱+瀉下+利水 | 清熱+解毒+活血 |
注意点 | 体力のない人にはやや強すぎる | 体質を問わず使いやすいが、効果は緩やか |
補足:皮膚トラブルへの薬膳素材と生活アドバイス
- 薬膳素材:緑豆、はと麦、れんこん、どくだみ茶
- 避けたい食材:脂っこいもの、甘すぎるもの、刺激物(唐辛子・にんにく)
- 生活習慣:夜更かしを避け、ストレスケア、洗顔と保湿の見直し
私からのひとこと
「皮膚は内臓の鏡」とも言われるように、にきびや皮膚炎は体の内側の状態を映し出しています。だからこそ、見た目の症状だけでなく、体質全体を見て処方を選ぶことが大切です。
あなたの肌と体に合った処方で、根本から改善を目指していきましょう。ご相談があれば、「相談する」ページよりお気軽にどうぞ。